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2014/02/24 (Mon)
「必殺セイレーンバズーカ」
Comments(0) | ハイキュー!!
岩泉さん女体化で、及岩前提の花岩 というほどでもないかんじのショートです。







必殺セイレーンバズーカ




花巻が部室でジャンプを読んでいると、岩泉が現れた。
「ちょっと及川のロッカー漁らせて」
と、ずんずん入ってくる。
「なして」
「貸してた漫画ここだって」
迷いなく、窓寄りにある目当てのロッカーヘ歩み寄った岩泉は、ばかっと扉を開ける。
「あった」
本屋のロゴがついた紙袋を取り出しながら、
「昨日合コンだったんだって?」
「きゃああ」
花巻は悲鳴を上げた。及川、しゃべんなよ。
「照れんな」
「照れるわ」
「なんかおまえらモテそう。みんな一般から見たらすげー背高いんじゃん」
「そらまあね」
ジャンプで鼻から下を隠しながら、花巻は、自分のかばんにビニール袋を仕舞う岩泉の後背筋を見ていた。
「かわいい子いた?」
「まあ、うん、いた」
女子高生の見本のような3人だった。そして花巻はもてた。
「でも、岩泉のほうがかわいいよ」
そう言うと、岩泉はチャックを閉めようとしていた手を滑らせてかばんをひっくり返した。
どさどさー、と音と砂埃を立てて、中身が床に散らばる。花巻は「うわあ」と声を出した。
「大丈夫か」
「や、やめろ」
顔を真っ赤にして、岩泉が腰を浮かせかける花巻を手で制した。
そして、すすす、と拳を作り、斜めに構えた腕の間に顔を隠す。攻守一体。
「おまえは、その、新手の攻撃をやめろ」
「やめない」
花巻は岩泉の一連の動きを、しげしげと見つめながら言う。
「なぜなら君の反応がとても面白いから」
岩泉は拳の間から唸った。
しばし固まったのち、急にしゃがみこんで、がばがばと落ちた鞄にこぼれた中身を詰め込むと、蓋も閉めずに立ち上がる。
血の上った顔で睨みつけてきて、ふるえながら、ぱくぱくと口を開閉させ、言葉が見つからず。
じわっと瞳が潤んだ。
いじりすぎたかもしれない。
「い、いじわる」
投げつけるように言った声まで潤んでいる。岩泉はきゅっと目を瞑って方向転換し、大慌てに部室を出て行った。足音が遠ざかる。花巻の手から、ジャンプが落下した。
開け放たれたままの扉を呆然と眺める。
あの子、いま何つった。
こどもか。
語彙が。
生まれたてみたいに震えやがって。
風が吹き込んできた。
涼しい。
さむい。
なにかさっきまで手に持っていた気がする、と気が付いて、床に落ちた冊子を拾い上げる。
開いて、膝に置く。
めくってみる。
「いじわる」て。
そんなつもりは。しかし。
詰られたというよりも甘えられた気分だ。
(うあああおおおおおおお)
謎の力が花巻の手にページをめくりまくらせるが、内容が頭に入ってこない。
「はよざいまーす」
「ざいまーす」
一年が連れ立ってやってきた。
「先輩?」
グリップバックを肩にかけた後輩に声をかけられて、花巻は我に返る。
「ああ、おつかれ」
「ちゃーす」
「2年まだ掃除してっから、ぼちぼち着替えてからロードな」
はあ、と不審そうに頷く後輩。
「先輩。ジャンプ、さかさまですけど」
「………」
ほんとだね。
「先輩。なんか顔、きもちわるいすよ」
失礼な、と口を尖らせてから、花巻は雑誌を閉じて机に突っ伏した。





おしまい

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