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2011/07/03 (Sun)
「●阿雲小ネタ詰め」
Comments(0) | ES21:双子

続きに阿雲の小ネタ絵や文章をちょろちょろ置いてます~。
三人称が「兄」「弟」から「片割れ」に移行ぎみです。笑




















お前死んでも寺へはやらぬ 焼いて粉にして酒で飲む

es091.gif
読み人を知らない都々逸。










①歌 (高一~高二)

今日の片割れは機嫌がいい。ほにゃららほにゃららと雲水の知らない歌を歌っている。
阿含は歌も非常に上手い。
カセットテープに録ってどこかに応募したいくらい、うまいな。と昔一度褒めたら、「カセットテープ」と復唱されたうえ絶句されたことがある。
雲水は流行りの歌がよくわからない。興味がないのだから別にいい。それにテレビやコンビニで漏れ聞く歌より、阿含が口ずさむ旋律のほうが、同じ曲であろうが、ずっと美しく聞こえる。
腹を出して寝転んだ阿含は、紫外線や虫を気にしない雲水が開け放った窓から見える、6月の曇天を見上げながら、口ずさんでいる。
別れた女を責める歌らしく、君は帰ってこないだのなんだのと未練がましい歌詞をBGMに、雲水はちゃくちゃくと洗濯物を畳んでいた。
自分の上服、下服、下着、弟の上服、下服、下着、六つの山をこしらえる。
「今、なんて歌った?」
「ん~?」
話しかけられて、阿含は歌を中断した。大の字である。
「歌詞がよく聞こえなかった」
「あ゛ー?別に、また会いたいよとか、そんなん」
「そうか」
何かもっと気になることを言われた気がしたのだが。
まあいい、雲水は自分の洗濯物を抱えて立ち上がった。壁際に設置したプラスチックの衣装ケースを開け、乏しい私服を詰める。
阿含は歌を鼻歌に変えて再開した。6月の曇天は白々としている。



『きみは僕の大好きな君の笑顔を波のかなたに置き忘れたようなのだ』







②認識 (高二~高三)

「阿含さんのハッタリはすごいスよね」
「ハッタリじゃないぞ」
雲水は三白眼で一休を見下ろした。
「阿含は翼もないのに崖から飛ぶような真似はしない」
「う、そりゃ。それこそ、人間の力で可能ことならおおよそ、阿含さんならなんでもできるでしょうけど」
「そうでもないぞ」
雲水はいちいち水を差す。
「あいつにも不足の部分や伸びしろはある」
「聞き捨てならねーな、雲子」
どこからともなく突如、阿含が出現した。
妖怪現る、と一休は思って震えながら雲水の背後に隠れた。足音もしなかったよ。
「事実だ。世界戦見てわかった。お前には不足がある、伸びしろもある」
「それで?」
「それで、それは、俺には補ってやれない」
「・・・・・・」
「がんばれよ」
お前にもできることがあるだろうが。
お前にしか、俺にできないことが、あんだろうが。
とは思えど口にできぬ阿含である。
「テメーは、俺の何だったよ」
「・・・双子の、まあ、兄か」
「・・・そーだな。・・・双子の兄以上って、あるかよ」
「・・・・・・ないか?」
「・・・・・・ねーんじゃねえの」
そうか。
茫然としつつも無表情で納得しかけた雲水だが。
「いや、あるな」
「・・・・・・ンだよ」
「双子の弟だよ」
「・・・・・・そうかよ」

勝手にやってろおおおおおおおおおお

雲水の背中にはりつき、彼の帯を握りしめながら、一休は胸の内で咆哮した。






③目的地は新龍寺(着くまで言わない) (大学生)

阿含は雲水の免許を眺めていた。
「オイ・・・いつもより3割増しで人相いいぞ」
「油断した瞬間にシャッター切られたんだ」
眉間に深い皺を刻み、雲水は片割れが茫然と眺めていた免許証を奪い取る。
「で、行くぞ」
「はいはい」
兄を運転手にしたドライブは初である。
「さあ乗れ」
雲水は後部座席のドアを開け、弟を促した。
「・・・・・・助手席じゃダメなん?」
「運転席の後ろが、事故時の生存率が一番高いんだ」
阿含は無言で、自分が貸した車の前方に回り、助手席に乗り込んだ。
若干不満げに運転席に座った雲水に、「これでもう絶対事故れねえだろ」と歯を見せて笑った。
険しい顔で見返してきた兄の顔にははっきりと「うわあムカつく」と書いてあった。


 

おしまい!

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