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2010/10/12 (Tue)
「何コンだ」
Comments(0) | ES21:双子
es007.jpg


スパークお疲れ様でした!!!
続きに阿雲?一?ほのぼの小話です。







***************************************



肩を冷やすな、直射日光には気をつけろ、水分補給は怠るな、だが冷たいものの飲み過ぎには注意しろ。
「雲子、るせー」
阿含は投げやりにあしらうが、
「はい雲水さん!」
一休はとてもよい返事だ。
「おーおーいい子ぶりゃあがって」
「別にぶってないスよ。大事なコトじゃないスか」
「大事なコトはな、言われなくてもわーってるっつーのよ。小言が多いんだよなー雲子は」
「お母さんみたいっすよね」
は?
阿含は豆鉄砲を食らって一休を見下ろした。
「雲水さんて、なんかお母さんぽくないっすか?世話焼きが板についてるところとか、迷い箸とか肘ついて食うとかに細かいとことか、飴と鞭なとことか」
阿含は嫌味のように白い歯を見せつけて笑った。心から楽しそうだった。
「おいゴクウ!カッパにブタも聞ーけーよー、一休のマザコンぶりハンパねえよ!」
「一休がマザコン!?」
「ぎゃっはー!」
「いい年をしてこの子は恥ずかしい!」
うわーん違うっすよー!!!
なんだか急にイキイキして振り返る西遊記組にロックオンされ、一休は泣いた。このネタで週末までいじられることを悟って泣いた。
「おれは、俺はただー!!」
「おかあさんが恋しいってか」
「おふくろの味が懐かしいってか」
「夜なべして手袋編んでくれたってか」
「違うもん!ちがうもん阿含さんの鬼鬼ーーー!」
鬼鬼て。

 

消灯前。珍しいことに阿含は自室でおとなしく携帯をぽちぽちしていた。
しかしおとなしくは今この瞬間だけのことで、15分後には窓からさよならする予定なのである。同室の雲水はそうとは知らず、無言で布団に座ってティッシュを広げて手指の爪など切っている。
「そういえば」
ふと思い出し、口唇をイヤな笑いの形に歪めながら、阿含がくつくつと語りだした。
「一休がよ、雲水さんっておかあさんみたい、っつってた、今日。おい雲子ちゃんよ」
阿含は、雲水がイヤな顔をすると思ったのだ。軽いイヤがらせのつもりだったのだ。
たとえ雲水がイヤな感想を持ったとて、全ての責は一休にあるわけで、誰がオカンだ おいおいオレが言ったんじゃねえってホクロだっつの くっそ一休め まあお前くっちうるっせえもんなああアレしろコレすんなっつってよう そんなことはないだろう あるっつの、じゃオレ出てくっから なんだとコラ阿含おまえいい加減にしろよ偶にはきっちり休んでけ年齢相応の健康管理があるだろ部活だってみんな ほらほらほらそういうトコがオカンだってーの、ほーらうるっせえじゃんよお うぐ じゃあねー
これでいくつもりだったのだ。
朝練で一休は雲水にちょっとキッて睨まれることだろう。やあい。
ところが雲水は、
「ああ…確かに、俺もたまに一休って息子みたいな感じがすると、思うことがあるな」
微笑すらしつつ、爪を切る動作も流れるままに答えてのけた。
「……あ゛ー?…ほーん」
「…何を不機嫌になってるんだ?」
「あ゛?誰もなってねっつの。窓鍵閉めとけよハゲ」
「あ、おい!何だとコラ阿含、おまえいい加減にしろよ、偶にはきっちり休んでけ、年齢相応の健康管理があるだろ。部活だってみんなお前と練習合わせるのを待ってるんだぞおいコラ聞いてるのか待てって、あーもう!」
バカもんが!
怒声は阿含の後頭部に降り注いだ。

 

翌日午後、校内に姿を見せた阿含から、一休は軽く殺意に似たものを感じたという。


終わり

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