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2025/01/11 (Sat)
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2013/11/17 (Sun)
「必殺シンデレラチョークスリーパー」
Comments(0) | ハイキュー!!
岩ちゃん女体化で及岩の小説です。
下の続編です。
あついうちにだしとかねば と書き出したら、色々と滑って、滑っていきます・・・ちゃんと設定とか決めてないので・・・。水面下両想いなのは確かなんですけど・・・!

すみません、ちょっと加筆訂正しました。










必殺シンデレラチョークスリーパー









岩ちゃんを抱っこして歩いている。学校の階段を降りている。
「助けてくれてありがとう」
俺の胸に顔をぺたっとくっつけて、赤いおでこの岩ちゃんが呻くように言う。
「岩ちゃん、あんな危ないことしちゃだめだよ」
「だって」
と、岩ちゃんは握り締めていた両手をほどいた。くっつけていた顔を離して、自分の手中を見る目が潤みがかっている。
先月貸したまま返ってきてない消しゴム、大事に持っててくれたんだね岩ちゃん。
「こいつがいきなり、走り出すから」
「だからってトラックに突っ込むなんて、俺がいなかったらどうなってたか」
「うん、及川がいなかったら、おれ」
消しゴムは淡い桃色の光となって消え、空いた両手で岩ちゃんは俺に縋り付く。
「ぐすん、及川」
「岩ちゃん、岩ちゃんに泣かれたら、俺」
「おれ、重くないか」
「軽い、軽いよ岩ちゃん」
びっくりしたみたいなおっきな目で、ほっぺた真っ赤にして俺のことまっすぐ見上げてくる岩ちゃん。岩ちゃん。あー岩ちゃんだ。ちくしょう、岩ちゃんめ、岩ちゃんなんか、あーばかくそちくしょうあー岩ちゃん岩ちゃん岩ちゃん岩ちゃんなんか岩ちゃんなんか岩ちゃんなんかなんかなんかなんか
「お、及川、痛い」
「俺だって痛いよお」
抱き締めたら怯える岩ちゃんに俺も怯えてもっと離せなくなる。
「む、胸が、」
「胸?」
「そう、む、胸が、いてえの」
「おいか、う、ぅん」
唇がやわらかあい。ぅん、なんてかわいいね、かわいいな、あーくそ
「い、岩ちゃんなんか」
「あん、む、胸」
横抱きから縦抱きにして胸に顔を埋める。岩ちゃんの浮いた両足がぱたぱたと空を蹴る。
「い、いい匂い」
「ばか」
詰りながら頭を抱いて髪の毛を撫で撫でしてくれる。いい匂いだ。岩ちゃんのかわいいかわいいかわいい汗のいいにおいだ。布数枚を隔ててふっくら頬を挟みこんでくれるいじらしげでいとしげな岩ちゃんのお、お、おっぱいのむこうで、とくとくとく世界一儚くて綺麗でかわいい音がしている、君を守るためなら俺はなんだってするのに泣くだなんてひどいじゃないか岩ちゃん、お、俺は、君に泣かれたら俺は頭がおかしくなるんだよ。
傷だらけでがさがさの岩ちゃんの手、がんばりやさんの手、俺より一回り以上小さい、いとしいいとしいいとしい指と両手が俺の頬を挟む。
「ん」と脳みそが溶けそうなぐらいかまいくて自然と顎が落ちて涎が出ちまうような声でその細こい喉を鳴らして、岩ちゃんのくちびるがおりてくる。
なんてやわらかくて、いわちゃん、あーいわちゃんおれはあたまがおかしくなっちまうよ。


目覚ましが鳴る。部屋が明るい。カーテンを透かして朝のひかりが容赦なく瞼を射ってくる。みじろいだ。
やや硬直したのち、もっさりと起き上がって目覚ましをスイッチごと握り締めた。電子音が止まる。布団の上に正座する。
枕を20回ばかり殴る。
腕が重くなりはじめたころ、携帯電話が着信を告げて鳴った。彼女からのモーニングコールだ。







「おーい、及川、はよーす」
後ろから岩ちゃんが追いついてきた。最寄のバス亭が同じで朝練の時間も被るため、登校途中で大体一緒になる。
「はよー」
「なんか顔おかしくね?ちゃんと寝てんのか」
「寝てるよ」
「及川最近ちょい早いよな」
「彼女がおはようメールくれるんだよね。返事しないといけないから」
「へー」
と言う岩ちゃんのぽかんとした顔に、めんどくせえなの字が見える。
「早起きはいいけど、夜更かしすんなよ」
「してないってば」
「おれも人のことそんな言えねえけどさ」
「そうじゃん」
「お前のはたまにシャレにならんだろうが」
2時とか3時とか4時とか。
「そーだ岩ちゃん、消しゴム返してよ。こないだのミーティングの」
「ん?あ!ごめん、バス乗ったら出すな」
長いこと悪い、と詫びる岩ちゃんは制服の下にジャージを着ている。上も下も。
「…何のユニフォームなのそれ」
「防寒と時間の有効活用を兼ねて」
歩きながら器用に爪先で小突かれた。
「なんで蹴るの」
「そういうの何回も指摘してくんのがうぜえから」
「暴言と暴力の同時攻撃やめて」
「ふーんだ」
「『ふーんだ!!?』」
ださかわいい!!!吹き出した。
「ふーんだ、うっは、めんこい~」
「うるさいな!」
駆け出すと岩ちゃんが背中を叩きながら追いかけてくる。1年ぶりくらいに笑ったような気持ちだ。
バスに乗ると、走ったのと車内があったかいのとで、なんとなくほっこりした顔色の岩ちゃんは、通学かばんをごそごそ開けはじめた。
消しゴムね。別にあげてもいいんだけどね。









洗面所の戸を開けたら裸の岩ちゃんがいた。数秒見つめ合う。岩ちゃんは浴室から一歩出てきかけたところで硬直している。永遠のような数秒の後、俺は扉を閉めた。
すぐ閉めればよかった。なんで凝視俺。えええええええええとおおおおお
リビングの母親は何やら煮炊きをしている。
「あら、帰ってたの!?お帰りなさい~、今、はじめちゃん来てるのよ、びっしょぬれでね、あんた夕立大丈夫だった?季節外れねえ、傘もささないで歩いてたからね、保護しちゃった。今お風呂入ってもらってるから洗面所入っちゃだめよ」
「て、ておくれだよおおお」
「えーーーーー!!!」
真っ青で振り返るお母ちゃん。
「あらまー!な、何かを見たの」
「み、見たよおおおおおおお」
「やだー、お嫁にもらうしか」
「うへええええええええ」
「あ、だいじょぶです、だいじょぶ。なんかすみません逆に」
岩ちゃんが体育用のジャージで現れる。
「犬に見られたと思えば」
「ご免なさいね、まあ、はじめちゃん、おばさん、ごめんね~!」
「及川は男兄弟みたいなもんだしほんと気にしないです」
いやあの硬直ぶりはそうじゃないでしょー。と思いはするがそっと流れるままにしておく。
「及川だってあたしの見てもなあ」
ありがたみないだろうし。
って、俺に振るのいわちゃん!?
「あ、ありがたみ、は。ま、まあ。ね、ねえ。」
ぶかっとジャージを着崩している湯上りの岩ちゃんが、なんだか静かな顔で俺を見ている。
「徹。棒読みが過ぎる」
実の母に重たい感じで刺される。
岩ちゃんがそっと俺の肩を抱いた。そっとカーペットに押し倒される。そっと喉輪に沿って上腕が絡み付けられる。
「忘れろ」
日焼けの名残が残ったその二の腕で、本格的に落としにくる岩ちゃんに、俺は床を叩いた。
ていうか密着が。股間が。岩ちゃんの股間が俺の腰んとこにほんと何考えてんの馬鹿なのそうなの
「は、はじめちゃん」
「すみません、ご子息に」
謝る前に技をほどこうよ岩ちゃん。
「おばさんはご子息よりご子息のご子息が心配だなあ」
「ちょっとやめて!?ほんとやめてねえほんとやめて!!??」
実の母よ。
岩ちゃんは俺に馬乗りになったまま、首をかしげている。







夕飯時にお騒がせしてすみませんでした、と岩ちゃんが頭を下げる。こういうのを欠かさないから岩ちゃんは近所の親世代から一様に受けがいいのだ。
俺も普段用のスニーカーをつっかけた。
「そこまで送ってくんね」
「これ持ってったげて、はじめちゃん食べてくかと思ったのに」
「酢鶏?」
ちょっとずしりとする、くたびれた百貨店の紙袋を渡される。中を覗くとタッパが見えた。油とお酢のかぐわしい匂いがする。
「わあー、すみません、ありがとうございます、たのしみ」
「あと柿とお蜜柑入れといたから」
「何から何まで」
ぺこぺこしながら退場する岩ちゃんに続く。
夕暮れが深い。
冷たいけれど優しい風が吹いている。
一つ目の角に差し掛かったところで、岩ちゃんが俺にも礼を言う。
「ありがとなあ」
「お母ちゃんがしたくてあげてんだから、いいよ」
「でも悪いから」
「悪い事したのはこっちだし」
思った以上に、暮れなずむ街角に声が響いた。岩ちゃんが俺の顔を見る。ちょっと恐いくらいの真顔だ。重そうに口を開く。
「正直、なんか」
と、目を逸らして、眉間にしわをよせる。
「モヤっとせんでもないけど、お前の家だし、そもそも見たくて見たわけじゃねえし、お前悪くねえだろ」
岩ちゃんの腕と膝の上の、日焼けの痕を思い出す。白いところも黒いところもまぶしかった。
「見たくて見たわけじゃないけど、ありがたみだったらあるからね」
頭を振る。とりあえず画像は追っ払え。
「おまえ。俺は女じゃねえとか言ってんじゃん」
「言ったけど女なんだからしょうがないじゃん」
岩ちゃんスタイルいいじゃんか。
かわいいし。
と続けると、突如岩ちゃんは暗い私道を走り出した。
「待ってよ岩ちゃん!」
慌てて追いかける。前方からは土煙が上がっている。ダッシュじゃねえか。
「ちょっと岩ちゃんマジか」
距離が縮まらない。
「うるせえ!」
「岩ちゃーん」
「あーーー」
おれらインディアンみたい!
旧道のストレートで岩ちゃんを抜く。次の角で抜き返される。及川くそきめえ、と岩ちゃんが怒鳴りながら振り切ってゆく。紙袋の中身をごたごた言わせながら前傾を深くする。こんな鬼ごっこを何千回もした。息が切れる、胸が痛いよいわちゃん。
町内をほとんど半周したところで、岩ちゃんはよろよろと並足になった。
「ここどこだ」
「あっち行ったら大通りっしょ。方向音痴だねえ」
「うるせえわ」
今そこをゴールとさだめたらしく、岩ちゃんが閉店した商店横にある自動販売機に頭から突っ込んでいく。ごつんと言わせながら寄りかかり、背中のメッセンジャーエナメルから財布を出した。
「及川なにのむ」
「お茶ちょうだい」
「うい」
自販機の下から、アクエリとお茶が一つずつ出てきた。
ぴったりと寄り添って、地面に腰を下ろす。
アクエリをひといきに半分も飲んだ岩ちゃんが、あのさあ、と言った。
「お前、彼女とうまくいってないの?」
「なんで。まあまあ」
「そうか?そんならいいけど…。いいけど。」
「岩ちゃん」
頭から寄りかかった。
「岩ちゃん」
「なに」
なんでもない。
もたれた俺の頭の上に、岩ちゃんの頭がのっかってくる。頭蓋骨同士がぶつかって硬い音が耳の内側から聞こえる。夢を見ているような気分にもなる。
「お前に彼女いると、おれはさみしいんだよなあ」
ぼんやりと言う岩ちゃん。お茶の味がわからなくなる。
「おれも彼氏作ろうかなあ」
「それはダメ」
「なんでよ」
「なんでも」
殴るのが枕じゃ済まなくなるよ。
おしまい

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