「午前二時」
昨日からリアル神奈川の友人宅にお泊まりしてますーテンションあがる!
明日忍ジャンルのイベントなのですが、しかし今日は、今日はなんか更新したい!せっかく神奈川おるし!というハアハアで、携帯打ちした双子小話です~。
昨日からリアル神奈川の友人宅にお泊まりしてますーテンションあがる!
明日忍ジャンルのイベントなのですが、しかし今日は、今日はなんか更新したい!せっかく神奈川おるし!というハアハアで、携帯打ちした双子小話です~。
*午前二時*
風呂から上がると5日ぶりに見る弟がソファでくつろいでいた。テレビの音がやかましい。音量でなく番組の内容がだ。飛び交う複数のヒステリーな喚き声笑い声叫び声。
コップに水を汲んでソファを迂回し弟を見下ろす。金髪が、5日前よりも短くなっている。隣に座った。
「これ、見てるのか」
そう問い掛けたのは、弟がテレビ画面を見ていなかったからだ。つまらなそうに携帯をいじっている。
その自分の手元からは目を離さぬまま、阿含は右腕をにゅうと伸ばして雲水のコップを奪った。水道水を一口飲んで、返す。
「見てねー」
「なら、変えるぞ」
弟の膝からずり落ちているリモコンを拾い上げてチャンネルを回す。ろくな番組が見つからない。23時だから無理もない。一巡して過疎化問題ドキュメンタリーに落ち着くと、弟が無感動に話し掛けてきた。
「見ンの、それ」
「ちょっとな」
「…受験どうよ?」
「まあまあ」
答えて、水を飲んだ。
力の抜けている兄の手からリモコンを取り上げる。角の丸い直方体を手の中でもてあそぶ。
兄は俯いて眠りこけている。横顔の輪郭が、テレビの人工色に照らされている。
いじらしい坊主だ。
テレビの音量を下げてやる。
なんとなく手放しがたいリモコンを手の内で転がして、両膝の間に落とす。兄を横目で見る。
眠っていた。自主トレと受験勉強で疲れたところの風呂上がりなのだ。
首を傾けて、下から覗き見た。瞼も唇も緩く閉じて光っている。彫りが深くて観賞用の彫刻のようである。しかし赤味が差している。
兄の唇が小さく動いて、不明瞭に何事か呟いて眉間に皺を寄せたりほどいたりしたので、阿含は苦笑した。
たとえ天使が実在したとしても、こんなに美しいはずがないと思う。
目を覚まして仰天した。寝ていた。まさかの爆睡である。テレビは消えている。「起きたか」
弟の声に勢いよく振り替えると、隣で背もたれにふんぞり返っていた。
しばし茫然としてから、
「…寝ていた」
と分かり切った報告をすると、弟は口の端を持ち上げて笑った。雲水の顔にも微笑が乗った。
時計は午前2時を指している。
*終*
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