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2025/01/10 (Fri)
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2010/08/01 (Sun)
「阿含パーティー」
Comments(0) | ES21:双子

阿雲好きな友達が泊まりにきたので、同人誌をどうぞ、アニメのDVDをどうぞ、お酒と料理をどうぞと接待していたら、彼女は微笑んで
「今日は阿含パーティーだね」

えっ・・・・・・血の匂いがします。

「雲水パーティがいい…」
「私も雲水がいいけどあいつ盛り上がりに欠けそうだし精進しか食べなさそうだから阿含パーリーね」
「じゃあドレッド祭りだね」
「そうドレッド祭りだよ」

多分、このころにはもう二人とも酔っ払ってたんだと思う…!
阿雲に。

阿含はお兄ちゃん大好きじゃけえ…
お兄ちゃんちょっとおかしいけえ…
と一晩で何回言ったかわからない祭りでした。





漫画で描こうとしていたけど、うまくいかなくて文章に変更した、阿雲仲良し兄弟小話を続きに置いておきます。















八浄戒は参っていた。他校生の視線が痛い。突き刺さるのだ。
無理もない。非はこちらにある。悪者なのである。阿含一人のせいで。

「鬼雑魚じゃん」

思うそばから罵声だ。
ごめんなさい、僕が言ってるんじゃないんです。こいつ一人が言ってるんです、だから僕やサゴジョや雲水は許してください。
心優しいのだった。

県内の、次期対戦校の、試合偵察である。
ごていねいにハンディのハイビジョンビデオカメラまで、いじって遊びたい気持ち半分に持ち出してはみたものの、肝心の被写体の調子が芳しくなかった。
なんというかまとまりに欠け、練習不足感が薄く漂っている。むなしい。
とはいえ、
「何だあのパス。死ねよ」
ここまで、敵地応援団のただ中で言えるのはすごいよ。
思っても黙っとくというスキルは、本当に大事なんだよ。
とか何とか心の中ではつぶやきつつも、八浄だって片手に肉まんをかじりつつ半目だ。これだって、傍から見るとコイツ白けやがってという風情満載なのだが、もっとひどい阿含が目立ってくれるので、チームメイト達からは気にも止められない。他校からの評判は地味に落としている。良く言えば王者の風格、悪く言えば余裕ぶっこきやがって。
「マジでだりー。帰りてー。なー帰ろうぜ雲子ちゃん」
「馬鹿を言え」
少なくとも雲水は心から真面目に偵察の構えだ。オペラグラスを覗き込んで、ボールの動きを追っている。隣では一休がハンディカメラを膝に固定して録画しているが、こちらは既にあくび混じり。
「帰っていいだろ」
「帰りたいなら帰っていいぞ」
「一緒に帰んねーの」
「オレには必要な情報だからな」
「まーじめですねー」
「やめろ」
坊主頭を両拳でぐりぐり挟まれ、雲水は邪険に振り払った。
「ヒデー!」
振り払われた手、つれねえよ、冷たいぜ、鬼め。と言いたげな逆恨みの阿含、
「オレと、んなカス試合のどっちが大事なんだよー!?」
本人はふざけているつもりなのである。
みんなそれはわかっている。
わかっているのだが、発した人物が人物なので、「ええー…」「わあー…」と生暖かい空気が周辺に満ちて、先ほどまでとは違った色合いの視線が金剛兄弟に集中した。
「カスだとお!?」よりも「ブラコンなのか!?」が上回る、天才阿含の認知度である。
ナーガメイトたちは慣れてるんだけど、他校生の皆さんの視線が居心地悪い。阿含ってこういうこと割と言うんですよ。心の中で周囲に呼びかけるハッカイ達である。
「馬鹿!」
と間を置かず雲水が一喝した。さすがである。
「お前より大事なものなんかあるはずないだろう!」
大声であった。
周囲は完全に静まり返る。虫の声もない。
風だけが涼やかに通り過ぎていった。
雲水は何事もなかった様子で、試合観戦を再開する。

八浄戒は参っていた。嫌な汗が背中を流れて止まらなかった。他校生の視線が痛い。突き刺さるのだ。
……こういう兄弟なんです。
わりといつも、こんな感じですよ。心の中での呼びかけは続く。
阿含はといえば、その後試合終了まで、別人のように大人しかった。





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