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2025/01/10 (Fri)
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2010/07/22 (Thu)
「●エゴブロック」
Comments(0) | ES21:双子
かなり昔にマーガレットに読みきりで載ってた、能天気/野郎/エゴ/イストという大好きな漫画家さんの作品の阿雲パロ小説を続きに置いております。
男子高校生と年上女教師のエロシブい話だったのですが、なんか・・・なんでか無理矢理阿雲で想像しだしたら止まらなくなった。
設定がないとわけがわからない話になったので、設定↓


双子の阿含と雲水は、小さい頃に両親が離婚して母親一人に育てられてて、やがて親が再婚するがしばらくしてまた別れて、その義父が雲水ばっか可愛がって雲水だけ引き取っていって引き離される双子。
母も実父もできる阿含ばっか可愛がってたので、初めて自分を甘やかしてくれる義父になついた雲水なのでした。でも阿含はずっと雲水っ子だたので義父嫌い。双子幼かったので引き離されても抵抗できない展開。
義父と二人暮らしでやがてせいてきぎゃくたいをうけるようになるうんすい。
同じ高校に入学して双子再会。雲水はなんとか義父を説き伏せて一人暮らし。そこに通う阿含。
最初は阿含の片思いだったけど2年生くらいの時に両想いになって現時点で3年の夏。なのになぜか部活をしている。
アイシキャラは雲水と阿含しか出ませんが、別人のようです。そしてオリキャラの義父が出ます。
すべてが無理矢理で、わりと暗くひどい話なので、それでも読むよ~という懐の広大な方は、どうか変な夢を見てる感じでご覧ください。


原作は全然そんなアブない話じゃないのですが・・・
勢いって怖い!



























阿含は紙を広げた。雲水は名も知らないくるくるカールなヘアスタイルの白人が、スタンドマイクを握りしめて天に訴えかけている。写真をそのまま引き伸ばしたようなロゴなしポスター。壁の染みが目立つ箇所に、念入りにそのポスターを貼って、阿含は満足げに頷いた。どうよ。
「お、かっこよく誤魔化せたな」
「頼むぜ、ボブ・ディラン」
壁の染みは、酔った義父が乗り込んできた際に、阿含も居合わせてちょっとした修羅場になって酒だか麦茶だかウーロンだかがぶちまけられてできたものだ。ちょっとやそっと擦っても落ちなくて「目障りだ…」と闘気としか言いようのないオーラを発した阿含、こんな素敵な解決策を。
正直そんなに好みの絵でもないが、雲水は嬉しい。
礼を言うと深刻な雰囲気になりそうなので、無邪気に喜んでおくにとどめる。
「何か食おうぜ」
「うん、何か食おう」
「外行く?」
「何が食いたい、阿含」
「うんすいv」
「馬鹿もん」
冷蔵庫を物色する。冷凍してある米とパンとピラフしかない。
外食をした。
帰宅して抱き合った。
「痛っ」
フローリングに寝転がされて呻いた雲水に、阿含は目を見張る。
「だいじょぶか」
「うん…?」
「雲水?」
「ああ、いや」
雲水自身も戸惑っている。
「どっか痛いの?」
「なんだろ、ろっこつが…」
「肋骨が?」
「急に」
阿含は手で雲水の胸を辿る。雲水はぱちくりである。「あれ、い、痛い」とか言っている。
「……折れてんじゃね?」
阿含はすみやかにタクシーを呼んだ。
乗り込む。冷汗をかいている。
「なあ、阿含」
後部座席に隣り合って座った、雲水が妙にはしゃいでいる。
「キスしようか」
応とも否とも答える前に顔を引き寄せられる。待てまだ行先を告げてない。
「K整形外科まで」
スポーツをやってるのが幸いして、救急の整形外科医を置く最寄りの病院は知っている。
運転手とバックミラー越しに目が合う。すぐ逸らされて「はい、K整形外科病院ね」と復唱されて車が出る。雲水がちょうど頬骨のてっぺんあたりにくっついてきてくれている。働くおじさんはプロでかっこいいと思いながら阿含は、なら遠慮なくと兄の腰を抱き寄せた。二人とも酔っぱらいなのだ。そういうことにしておいて欲しい。チップは弾む。
その晩を阿含は日付が変わるまで、病院の待合で過ごした。

 

「すまない」
昼休み。
関東大会決勝常連の強豪スポーツ部は、長時間休憩にも自主ミーティングだ。
雲水はホワイトボードをマジックで叩きながら部員諸兄に詫びた。
「ちょっと今日腹痛で、大きな声が出せないんで、聞きづらかったら言ってくれ。じゃ、来月末の試合のレギュラーについて、プリント見て下さい」

肋 骨 に ヒ ビ 入 っ て ん だ ろ ー が よっ

最後列で兄の解説を聞きながら、阿含はこめかみに青筋を浮かべる。
大事なことを聞き忘れていた。腹が痛いのはこっちもだ。

 

初夏の自然はむせかえるように青臭くて湿気満タンで精力に満ち溢れている。
校舎と校舎の間で脇っちょの土地は、なんてこんなにここだけ荒れ放題なんだ。
「それやったのって、ジムか」
ジムとは、二人の義父に阿含がつけたニックネームだ。顔つきがバタくさいし、遊ぶ金要り要りなのが長じて、ちょっとやばいところに足を突っ込みかけている中途さが、雲水もおぼろげに知っているガンダムの脇役というか脇モビルスーツを彷彿とさせるとかうんたらかんたら。
「うん、まあ、そうだ」
「いつ」
「おととい」

阿含は口を開けたまま数秒静止した。おとといィ?
「また同居するしないの話が出て口論に。脇見してる隙に蹴られたんだが、痣もできてなかったし、まさかヒビいってるとは」
「ちょっと待て」
待て待て待て。
今日のおとといっつったら昨晩の前日だぜ。
「来たのかよ」
「いや、俺が行ったんだよ」
「は、はァ!?――――あんでだよ!!」
「阿含、困る。この話は長くなる。5時限目は体育なんだ」
「五時限目あ?授業か、こんな時に、それはない」
阿含が真顔で切り捨てるのに、雲水は反省した。
「それはーそうだ、ごめん」
「行ったのかよ」
「行った。言っておくが俺は未成年だ。親権者の監察なしには賃貸契約の更新もできんし学費の工面もままならん」
「どっちもオレが何とかしてやる。もう行くな」
「そういう訳には行かない」
武士のような精悍さで言い切る雲水に、阿含はストレートを放る。
「ヤらせてんのか」
雲水、ピッチライナー。
「ヤらせてない」
阿含には信用できるはずもない。露骨に不審そうな顔をする。雲水はたじろがず続けた。
「多少触らせただけだ」
たたた多少って。
「てめえ…」
阿含は吠えかけ、飲み込み、頭を横に振った。落ち着け。
もういい、この兄に反省は望まない。なんでもいいからとにかく、そうとにかくだ、二度と行ってほしくない。
「もう行くな。俺がスッゲエ気に食わねえ。金でも成年後見人でもどうにでもしてやる、俺の為に行くな」
「阿含のためは、いつか阿含のせいになる。だから、その頼みは聞けない」
雲水はこんな時ですら眼差しが清廉だ。それを一時も逸らさないものだから殺意も湧く。
阿含は歯を食いしばった。言葉の代わりに喉から手が出て、こいつの首を締め殺しそう。
「……オレじゃ足りてないんじゃねーの」
苦し紛れの一言に、雲水は目を見開いた。口も開く。
数度ぱくぱくやってから、眉間に深い皺を刻んで凶悪な表情。
「…そうか。毎日のように会ってても、伝わってなかったって訳だな」
俺が売ったケンカは買うんじゃねえよ!
叫びたいが遅い。雲水は怒りに、比喩でなく震えながら、くるりと阿含に背を向けて去っていた。
悪いのはどっちだよ畜生。

午後はサボった。屋上から校庭を見下ろすと雲水がいる。短パンはいてサッカーしている。級友と雑談したりして、なんと笑顔になったりも。
ちくしょう。
弱気になってくオレを放っといておまえは平気なのか。
校庭にシルバーの乗用車が乗り入れてきた。何だあれは。
サングラスをかけた不穏な人物が降車して、ずんずん生徒たちに近寄っていく。阿含は目玉が飛び出た。
ジムじゃん!
飛び上がって屋上の扉を叩き開け、階段を飛び降りる。ターンして次の階をまた飛び降りる。10秒で1階に着いた。
校庭からうわあああと歓声とも悲鳴ともつかぬ複数の叫び声。
上履きのまま飛び出した阿含の耳に、次いで怒号が突き刺さる。
「オレはずっとおまえのために!!」
風になりたいとか鳥になりたいとか、こういう時に思うんだな。
阿含はとにかく駆けた。
「やめろよ父さん!学校まで来ないでくれ!頼むから」
「雲水、一緒に来い」
「無理だ、帰ってくれ」
どうやらジムは酔っている。阿含がその肩に手を伸ばした刹那、ジャケットの懐に手を差し入れたジムが取り出したものは、
「来ないなら、おまえを殺してオレも死ぬ!!」
てっぽう。
左手で雲水の腕を掴みしめ、右手に光るそれを、仮にも義理とはいえ息子の額にゴチリと宛がうヤクザ風。
てっぽう。
どわあっと体操着の人波がウェーブしながらドーナツ化現象だ。
中央に雲水とジムと取り残されたサッカーボール、やや後ろに行き場をなくした左手を伸ばしかけの阿含である。
雲水は震える唇を舐めた。
「わかった。行くよ」
額の銃口も震えていた。
「そうか。オレのとこに来るか」
「それがいいね」
「そうか」
銃口が降りた。阿含は飛びかかった。手刀で叩き落とす。喉を掴む。ぶっ殺す。両手で締め上げる。「おまえかっ」ジムは赤鬼の顔になりながら、懐からもう一丁の銃を取り出した。スペア。卑怯すぎるだろ。殺るなら殺れよ。
「阿含、放せ」
雲水が腕を引いてくる。ジムがそのこめかみに銃口を向ける。剃髪の痕も青い綺麗な坊主頭に、鉄の切っ先が押し当てられる。畜生すぎるだろ。
阿含は手を引いた。咳きこんで、崩れかけたジムに一発蹴られた。
「父さん」
「ああ、行こう」
行くなって。
行くなって言ってんだろうが。
雲水は振り返らないで助手席に乗り込んだ。体操服のまま帰んのか。車が出た。じゃりじゃりとタイヤが砂を噛む音もけたたましく去ってゆく。
「これ、ホンモノか?」
「いや、まさか」
「何だったの」
「雲水どうなんの」
ざわざわしながら数人近寄ってきて、地面に転がったてっぽうを木の枝でつついている。
阿含は歩いて校門を出た。
背後からズドンという轟音と、ホンモンじゃねーか!!と窓を引っ掻くような金切り声が聞こえてきた。

 

雲水は蛍光灯が苦手なのだという。瞳を覗き込むと色素が薄い。
部屋の明かりを点けた瞬間、
「眩しい」
と目を眇めるのが可愛すぎて、触れることを堪えていた高一のころの阿含は、兄を見るだけで胸を掻き毟りたい気持ちだった。
似合わないサングラスをして、笑ってやると照れて、やっぱり似合わないし、鼻の付け根が痛くなるからいらないや。お前にやるよ。とサングラスをかけてくれた兄、おまえには似合うなあ、同じ顔なのになんでかなと微笑んだ兄、抱き締めたくて痙攣する腕を堪えて駆け込んだトイレで実際に胸をかきむしって引っ掻き傷から血が出た。股間はぱんぱんだった。3秒で完勃ちだ。勃起もしすぎると痛いのかよ!舌打ちも出なかった。
死んでしまう、と思いながらも兄のアパートに通うことをやめられなかった。やさしいオレンジ色のライトを買ってやった。
思っていた以上に雲水は喜んだ。
そうか、このオレンジ色のライトを兄に与えるために、オレは生れてきたのか。
雲水の頬に触れた。すべすべしていた。阿含?と振り返って雲水は笑った。鼻血が噴き出して阿含は倒れた。雲水は血が止まるまで看病してくれた。底のない奈落のような恋に落ち続けた。
半年後に、中学に上がってまもなくから、雲水が義父に抱かれていたことを知った。それが苦痛で家を出たことも。

優しく抱く。
オレンジのライトを買ってやる。
壁の染みをポスターで隠す。
けっこうオレにも出来ることがあるじゃねえか。
何だってやってやるよ。
シルバーボディの車の上に飛び乗って仰向けに寝転んだ阿含、夜空を見るしかすることがない。することがないと色々思い出す。いいことも悪いことも。
「優雅だな、こんな所で月見とは。粋だ」
「『粋だ』じゃねえだろ」
突然声をかけられて内心ビビったが、平常の声が出る。
起き上がって見下ろせば、雲水がにこりともせずに阿含を見上げている。ジーパンにTシャツだ。さすがに体操服は着替えたらしい。
雲水が運転席のドアにキーを差し込んだので、阿含も地面に降りて助手席のドアを開ける。
「免許証持ってんの、おまえ」
雲水は無言でポケットから財布を出し、人相の悪い写真つきの証明書を抜き取って阿含の眼前に突き出した。
「おまえって得体が知れないよな」
「お前に言われるとは」
雲水は免許証を財布にしまいながらやっと笑った。
阿含の膝に、やたら重いボストンバッグが投げられる。助手席のリクライニングを調整しながら、阿含はその尋常でない重みに眉を顰めた。
「なんだこれ」
「あいつが寝てる間に持って出てきた。大した額じゃないけど当面の生活費だ」
ジッパーを開けるとおびただしい紙幣が、束でなくぐしゃぐしゃで詰まっていたので、阿含はすぐに口を閉めた。
「どこ行くんだ」
「とりあえず、ここを離れる」
雲水は静かに車を発進させた。ポルシェだか外車だかを買おうとしてた事があって、止めてよかったと雲水はしみじみ呟き、阿含は自分の知らない義父と雲水の時間を語られて心底むかついたが、やっぱりエンジン音物静かな日本車にしてくれた事は本当にありがたかったので黙っていた。


人気のない山道の入り口から少し木立の間に入ったところで車を停めた。一応、山道は舗装されていてちょっと手前には自販機も光っていたので、遭難する気はないような場所。
阿含は自分と雲水のシートベルトを外して抱きしめた。
「阿含、これからの話だが、俺は少し日本を離れる」
「少しって」
「まあ三ヵ月以内だ。幸い英語は得意だ。父さんが逮捕されるまでは隠れておいて、ちょっとほとぼりを冷ましたい。多分父さんの視野には無理心中が入ってる」
「冗談じゃねえ」
キスをした。
「可能ならもう完全に縁を切りたい。雲隠れに徹したい」
「オレがかくまって」
「おまえや母さんにはできるだけ迷惑をかけたくない。母さんを守ってくれ」
「……」
「自分のことは自分でなんとかする。生きてりゃまた会える」
キスをした。
「めちゃくちゃ捜索されるんじゃねえ?」
「申し訳ないが、せめて親権が失効するまでは」
「あと1年半か…おい三ヶ月から増えてんじゃねえか」
「ホントだ」
「ホントだじゃねえだろ」
キスをしながら涙が出そうになる。「めちゃくちゃにしたい」と言うと、「そうしてほしい」と言って笑った。

 

シートに押さえ付けて、裸の肩を抱きしめている。勿論肋骨には気を遣いつつだ。
「阿含」
声が掠れている。かわいい。
「喉が渇いた」
「そうだなあ」
顎を片手でくるみ、肩越しに振り返らせて口付ける。力の入らない舌が、それでもおずおず絡んでくるのが非常にいじらしい。
「あ゛ー、買ってくるわ。ちょっと待ってな」
「行くのか」
「行かねえよ。いや、すぐ帰ってくるよ。すぐそこあっただろ、自販機」
「ああ…」
脱ぎ捨ててあったTシャツを後部座席から拾って、坊主頭に被せてやる。
自分ははだけていたシャツの前をボタンで留めて、ぼうっと座っている兄に頬擦りする。いくぶんか骨張った顔の輪郭は、しかしやはりすべすべしている。
思わず頭を撫でる。かいぐりかいぐり。すると兄もこちらの頭へ手を伸ばしてきた。いい子いい子されるとどうしたって鼻の下が伸びてしまう。事後で蕩けかけのあったかやわらかい表情で見つめられながらなので尚更だ。
車外に出ると、空気が冷えている。風が心地いい。駆け足で、そう離れていない自販機へ向かう。振り返ると木立の間に小さくシルバーの車体が見える。
小銭を投入して茶か水かで一瞬迷っていると、エンジンをふかす音がした。
ミネラルウォーターが落ちてくる。取り出し口から掴み出して、怪訝に思いながら振り返ると、かなりのスピードで銀色の国産車が阿含の脇を通り過ぎていった。

おい。

「おいぃいい!!!」

駆ける。
風になりたい。鳥でもいい。
追い付く。自己最高速度を超えながらトランクを叩き、窓を殴り、後部座席のドアに手をかけたところで雲水の高笑いが聞こえた。アクセルを更に踏み込むのが見えた。鬼だろコイツ。
バックミラーの中で唇が動いていた。バイバイダーリン。もうアメリカ人気取りか!サングラス似合わねえ奴は国内でおとなしくしてやがれハゲが!坊主が!!
スピードが阿含の手を振りもぎっていく。倒れる。
咆哮しながら起き上るが、銀色はもう豆粒だ。
右を見た。
左を見た。
ここはどこだ。
五分ほど立ち尽くしてから、来た道を戻る。無論、木立の陰に車の姿はもうない。
ミネラルウォーターが転がっている。
阿含は思い切り蹴とばした。






ほんとは、
『「めちゃくちゃにしたい」と言うと、「そうしてほしい」と言って笑った』
のとこだけ阿雲にしてみたかっただけなのに、
ななななながくなりました。

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