花梨ちゃんはまことに、卑怯だ!と言いたいくらいかわいい。
か、描けない~;;でもすきだ!かりん!
ヘラクレスさんと花梨の、本編・欄外の絡みがかわいすぎて、書いた話が続きです。
恋愛未満のほのぼのです。
鷹と花梨も好きだ!なんかも~花梨周辺の帝黒のこと色々妄想してるとにやけてくる。
花梨は姿鏡に映る自分を見た。お出かけ前のチェックである。普通に女子として、今風にキマっていると思う。そこそこは。ださくはないよね。
花梨は煩悶していた。悩ましいのは昨日、部活動の先輩からかけられた一言だった。
後ろ頭をばしばしどつかれながら、あ~かわええかわええ、弟みたいなモンやあ。
花梨はそろり、とカシュクールワンピの裾をたくしあげた。つつつ、と腰に手を回す。そこにレギンスのゴム周りがある。
ぬ、脱いで、いってみようかと。
おかしいことはないはずである。ワンピースにはペチコートが内蔵されていて一着そのままで着れる仕様だ、透けない透けない。
素足を隠す黒地のナイロンを、なんだか頑張って脱いで見てみると、とたんに勝負服な自分がそこにいる。もう待ち合わせまでに時間がない。
ええやろ。ええでしょ。おかしくはない。
花梨はポーチを掴んで、玄関に待機させていた先っぽの尖ったローヒールをつっかけた。
「女子や!」
叫ばれて、一歩後ろに後ずさりながらも、今日の花梨は対抗するのだ。
「じょ、女子です!」
「おおー似合うとる似合うとる、かわええやないか!」
昨日とは微妙に違うニュアンスだ。しかし頭を引っ掻きまわすその動作からして、どうだあ!参ったあ!ぐらいの負かしてやった感はない。無念なような、ほっとしたような。
「花梨もそういうカッコすんねんな。似合うとるやないか。しょうもない男に引っかかるなや、ゆうてもいつかお嫁に行ってまうんやな・・・変な男連れてきたらお父ちゃん許さんからな」
「へ、平良先輩・・・」
「なんや」
「うちのお父ちゃんよりも、お父ちゃんっぽいですね」
「そ、そうか・・・そう言われると何や傷つくな」
「何かわたし、じーんとしました」
「も、もう言うな。何かしらチクチクくるモンがある」
「誰も平良先輩が老けとるなんて言ってませんよ!?」
「今お前が言うたな!?」
エッ!ウソ!!と、慌てて両手で口をふさぐ花梨。
お前は天然やなあ。いつでも素やなあぁあ。そう言って笑う平良は、ちょっと影を引きずりつつも、にこやかである。
「ほないこ」
「え、アキレス先輩と佐野先輩と大和くんと、みんな、は?」
休日だが、一軍数名でユニフォームの採寸に行くのである。しかし皆の心のメインは、ついでの昼食だ。昼食というか、休日に私服の花梨ちゃんと飯を食うというイベントだ。
「あー、聞いてへんか。今日高速で事故あったんやて」
平良はパーカーのポケットから携帯を取り出して片手でフラップを開いた。通信のニュースに関連情報が出ていないかチェックしつつ、
「それで国道混みまくりでバス組かなり遅れるっぽいわ。オレ用事あったからJRで来てんけど。やからオレらで先消耗品だけ買いにくで」
ニュースは更新されていなかった。難儀やな。携帯をしまう。
「エッ、事故・・・」
瞬間青ざめた花梨の頭を、ぶっとい指が並んだ手のひらが撫でる。
「誰も死んでへん事故やから、すぐ退くやろ。優しい子やな花梨は」
優しいのは平良先輩もやと、花梨は思う。頭をなでられるのは気持ちがよい。
「アキレスのやつ、かわいそうになあ」
ぽつりと平良は言った。しみじみとしておられる。
「アキレス先輩?なんでですか?」
「うー、うん。まあ、ちょっとなあ」
もうちょっと早うに家出とったら、そんでオレが早出せんかったら、ミニスカ生足花梨独り占めやったのになあ。
この娘は親の欲目抜いてもかわええで。ちょこちょこアホでおもろいし。
「うん、よし。花梨も可愛がったったことやし、ほな行こ」
「か、可愛がられましたー」
えへへと笑いながら、お下げがついてくる。うん、かわいい。
平良は胸が満たされた。
花梨もなんだか幸せなのであった。