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2025/01/09 (Thu)
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2010/11/23 (Tue)
「いい兄さん」
Comments(0) | ES21:その他

1123はイポ誕だわ「いい兄さんの日」だわで、なんだかとってもソワソワする日だったんですが(笑)、あいにく携帯(ソフトバンク)の電波がまったく機能しない場所に旅行に出てて・・・さっき帰ってきた・・・。
高知の足摺岬!いいとこでした!鰹のたたき美味しい~!海苔おいしい!酒も!

先日、いい雲水の日に天竺にお邪魔しまして、(その節はほんとに、思い出すと自分ほんと喋り屋でおはずかしい!)それで鈴音と雲水のコンビはかわいい!という話題が出てそれが忘れられなくて(笑)
そんなこんなの鈴音と雲水のいい兄さん記念日話を続きに置いていきます。
高知で、携帯でぽちぽち書いた。母娘旅行だったので、母が寝てからこっそり携帯ぽちぽち土佐の海。
足摺に竜串、すごいいいとこだったー!




 










1123
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視界の端に銀色が光った。
床に転がっていた。あるじゃない、と思った。
「おかしいな」
と雲水はもう部室の出入口に足を向けている。
「どこで忘れてきたんだろうねえ。第二講義室かな。今日は購買寄らなかったよね」
栗田も椅子を立ち上がり、きょときょと自分のズボンのポッケに手を突っ込んでは裏地を返す。おまえのポケットにはねえだろう、とコータローが至極もっともな突っ込みを入れる。そんな先輩方を同年の男共は、あはは雲水先輩も忘れ物したりするんですねと微笑ましく見送らんとしており和やか極まりない。
待ってよ、と鈴音は焦った。あるじゃない、そこに。
上着のポケットにしまっていたのが、椅子に腰掛けてから雑談するうち、何かの身じろぎの拍子に滑り落ちたに違いない。
「ちょっと」
鈴音はパイプ椅子から腰を浮かせた。
そこに落ちてるのー!

「兄さん!」

無意識にその単語は滑り出た。
鈴音は固まった。
制止せんと、待ての形に鈴音が伸ばした、その腕の先にいる雲水も固まった。
栗田も凝固した。
コータローも一年男子連も、なんだか部室の空気ごと生暖かく凍り付く。
雲水はゆっくりと振り向いた。
「何だ」
応答した。
平静である。
鈴音はいやあの、と口籠もった。
「え、ええと。あの、えとね。
携帯、そこ、落ちてる」
「ああ」
雲水は鈴音が指した床の一点を見、即座に納得する。
「本当だ。ありがとう」
いいえええ。鈴音は激しく首を横に振った。
雲水は拾った携帯の表裏をひっくり返して眺め、傷の無い事を確認してから、今度はズボンのポケットにしまう。そして部室の扉、ドアノブに手を掛けた。
「ついでにコーヒー買ってくる」
「あ、ぼくも」
出ていく背中を栗田が追った。
二人を飲んだ扉が閉まる。
鈴音は、両手で頬を包んだ。
「きゃあああ」
穴があったら入りたいとはこのことだ。
「やだー!やー!もうー!」
赤面を抑えきれず、恥ずかしいのを誤魔化したくて、力任せに隣にいるセナの肩をどつきまくる。
「痛い痛い!痛いって鈴音!」
「あははははー!」
「んはー!!」
賑やかだった。


部室棟横に据えられた自動販売機に手をついて、雲水は俯いて肩を震わせていた。
「雲水くん」
栗田がその肩に片手をそっと乗せる。
「く、くくく」
雲水の腹筋は痙攣していた。おかしいのだった。
「優しいね」
栗田がのんびり言った。
「はー、」
とひとしきり発作を堪え切った雲水が顔を上げる。「冷たいのにしよう」とひとりごちながらアイス無糖のボタンを押す。
ぼくはミルクセーキにしよう。
栗田はズボンのポケットから小銭入れを取り出した。
「お前にだけは言われたくない」
雲水が、自販機の取り出し口に手を突っ込みながら言う。
「え、なにが」
「何でもないよ」
笑いを堪えたために薄く涙の浮いた眼を細め、雲水は自販機の前を栗田に譲った。






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