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2024/05/06 (Mon)
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2015/11/13 (Fri)
「必殺ティンカーベルフライングメイヤー」
Comments(0) | ハイキュー!!
女体化岩ちゃんで及岩小説です。
9/30に途中まであげていた話の完成品です。
花岩・牛岩っぽい表現もありますが、及岩メインです。
必殺ティンカーベルフライングメイヤー









 
岩ちゃんが、もじもじして言う。
「あのな、及川。おれ、好きな人ができた」
そうかい。それは良かった。俺は頷く。すばらしい事だ。
「彼氏ができた」
「それはおめでとう」
祝福するよ。三千世界でいっとう大事な君の幸福だ。祝わないはずがない。俺は頭を抱えてうずくまる。表情筋に回す余力がない。耐えろ。耐えろ。今は、今この瞬間だけを耐え抜け。
「なんだ、拍子抜け。泣くかと思った」
「俺、やきもち焼きだからね」
「カレシ作んなっつったべ?」
虚しい抵抗だったねえ。
岩ちゃんの背中がキラキラしている。鱗粉かな?小さい頃はちょうちょも捕ったねえ。
「いつかはこの日が来ると思ってたからねえ。俺だって、彼女いたじゃない?」
「いたな、何人も!なあ付き合うって、どんなかな」
「高校生らしい、清らかな交際を心がけるように」
岩ちゃんは真っ赤になった。わかってる!と怒鳴り散らすと、ふわふわっと地面から浮いてどこかへ飛んでってしまう。
「あっ、あっ、ま、待って。待ってくれ」
青くなって追い掛けようとする俺の背中に、岩ちゃんが激突してくる。
「及川!」
「ぎゃあ!な、なんなの岩ちゃん!?前から後ろから!」
「カレシとケンカした!」
もう知らない!!とぐすぐす言う岩ちゃん、俺のシャツで洟をぬぐっているようだ。
「岩ちゃん、浮気でもされたの」
「それも含めて、色々不満がある!」
そこで俺は地面に腰を据え、さまざまな岩ちゃんの相談事に乗るのだ。それに満足すると岩ちゃんは、ふわふわと浮かび上がってどこかへ行ってしまう。行ってしまうそばから背中にタックルで戻ってくる。今度は何だ。
「及川、お、男が喜ぶようなお弁当のおかずって何だ?」
「こ、今度はノロケかよ!?」
合挽肉でもコネてろや!
「そ、そうかわかった、はんばーぐだな!ハート型にするんだ!やってやろうじゃねえか!」
「カレシに文句言われたら俺に言いつけるんだよ、豚と合挽いてグラム60円で売り捌いてやるからね」
「大特価だ!」
岩ちゃんはキャッキャとはしゃいで飛んで行く。何度でも飛んでって何度でも戻ってくる。ほらまた捕まえた!
「及川」
そやって俺のこと呼んで笑ってて。俺いつでも両腕広げて受け止めてみせっから。でもいつかはきっと抱き締めてもう離さない、岩ちゃん、
「それで、彼氏って誰なのさ」
うんとね。
岩ちゃんはちょっと唇を噛んだ。
「及川には、ないしょだぞ」
「えっ、うん」
「う、うしわかなんだ」
稲妻がとどろく。晴天に黒い亀裂が走った。
「そんな、ひどいよ、嘘だろう、岩ちゃん」
「おいかわ」
「おれについててくれるって、言ったじゃないか!」
地が割れても、海が枯れても、この身が―――灰になっても。
目覚めると身体じゅうに汗をかいていた。せり上がる叫び声を喉に留めて咳をする。肺を病んだような咳だ。悪い夢よひとかけらも残らず出てゆけ。
「ゆ、夢だ」
時計を見る。午前4時を指している。
岩ちゃんに彼氏か。
どうやって身体を起こせばよいのか、しばらくわからなかった。
学校前のバス亭から自宅方面とは反対向きに、繁華街を通って駅へ向かう便がある。15分も揺られればそこそこの街中だ。青葉城西高等学校において街へ出ようと言うときの街とは、おおむねこの繁華街を指す。
その街中のゲームセンターのエントランスで、岩ちゃんとマッキーが連れ立っているのと、俺はばったりと出くわしてしまった。俺一人かって?もちろん違う。ちょいちょいメールで恋愛相談みたいな、それにかこつけた下心込みの雑談みたいな、そういうやりとりを幾度か踏まえた相手が横っちょにいたりして、そんでその、そもそもの恋愛相談みたいなものの相談の対象というのがマッキーだったのね。そう。前に合コンしてマッキーとイイカンジだった女子がこれです。気まずい!
「あー、よっス」
「あよッス」
これで通じる体育会系。岩ちゃんも「ッス」と片手を上げてきて、それからマッキーを振り仰いで「ん?」なんてカンジで小首を傾げている。なんだか途端に眼が乾くなあ。
久しぶり、うん、なんてフタコトくらいの挨拶を、マッキーと俺側の女子は交わし、「んじゃ俺らクレーンゲームだから」と立ち去ろうとするマッキー。小走りについてく岩ちゃん。
「なに、なんか取りたいのあんの」
自動的に俺の足も前へ出る。
「お前」
マッキーがいやな顔をした。
「ついてくんなよ」
「あう」
「そ、そんな顔をするな」
責めたさと責められたくなさがせめぎあい、捨て犬の顔をする俺に怯むマッキー。だってこの状況ってなあに。
「花巻、あれだ」
岩ちゃんが指差した先にあるのは丸くて平べったい顔をしたクマのぬいぐるみで、最近ちょっと気に入っているらしきシリーズだ。優しげでいてどこか腹の立つ顔つきが「じわる」のだそうだ。
「これのティッシュカバーがほしいんだ」
「おっけー」
それで、合点がいった。マッキーはクレーンゲームがうまいのだ。
連れ立ってきた女の子を片手でマシンに手招きながら、
「マッキー、俺もおなじやつ欲しい!」
マッキーは横目で俺を見、岩ちゃんがマシンヘコインを投入するチャリンチャリンチャリンをBGMに、とてもアンニュイな溜息をついた。そして無視だ。
「きみもお願いしたら、マッキー取ってくれるよ。すっげーうまいんだから」
「ホントに?じゃー私アレがいいな」
そつなく入ってくる女子には「じゃあコレ取れたら次ソレいこーね」と普通に愛想のいいマッキーだ。
クレーンが沈んでゆく。縦に横に旋回しつつムーブして、ティッシュカバーのふちに爪が引っ掛かる。恐るべき要領のよさで、実にさっくりと、ぱっと見はぬいぐるみの形をしたティッシュカバーが穴に落とされた。
「しゅげえええ!」
岩ちゃんが噛みながら感嘆する。
「すっごおおい」
俺の横の女子も同様だ。
マッキーはまんぞくげに取り出し口からクマの首根っこ掴んで引っ張り出して、岩ちゃんの腕に抱かせながら、
「及川さあ、お前なんで彼女作んの?」
爆弾を落とした。
「えっ」
びっくりする俺を、岩ちゃんが見る。岩ちゃんのクマも俺を見る。無垢な目だ。マッキーと女子のも合わせて都合4対の視線に射られ、
「な、なんでって」
いっそ人格を否定されたような苛立ちが巻き起こり、逆切れぎみに静かに言い返して、しまった。
「じゃ逆に、どうやったら彼女がいない状態を継続できるわけ?」
うわあ、と言って身体ごと引いたのは、よりによって会うのが2回目の女子だった。ちょ、やめてよね。
「おまえほんとさあ」と、マッキー。
「サイテー」と、岩ちゃん。ぞくぞくするほど冷たい視線だ。
「ま、まって、今のは失言、違うけど」
取り繕おうとする俺にくるりと背を向け、
「行こうぜ」
「おう、行こうぜ」
「じゃあ、いこっか」
マッキーを真ん中に3人で手をつないで店の奥へ走り去って行く。
「ちょ、ま、今のは、待って―――!?」
本気の鬼ごっこを10分ほどして許されたのち、4人でボーリングしてお開きとなった。帰り際、今日ありがとね、でももう連絡するのやめとくね、と俯きがちに言われてしまい、不本意ながらフラられたかのような感触を味わう。
マッキーとはバスの乗り場で別れ、俺と岩ちゃんは2人がけの座席に並んで揺られる、いつかの夕暮れのようだ。
「このムカつく顔はちょっとお前に似ている」
岩ちゃんがクマを取り出して、その顔かたちを確かめながら呟いた。
「まじで」
俺などよりよほど幸福なクマだ。
「母さんが好きなんだ。喜ぶだろうなあ」
居間に置きたがっているのだという。全身の力が抜けてゆく。岩ちゃんがカゼをひいた時にはそのお鼻の健康を、しかたがない、こいつに託そう。
「俺、こんな顔かあ…」
「女癖のよくなさそうな顔をしている」
「だから、それはさぁ…」
「弁解の余地なんかねーべ、お前は調子こきのバカで自分で自分のことないがしろにしすぎなんだよ。女癖が悪いってのはそーゆーことだ、てめえの場合」
「痛いよ、岩ちゃん」
言葉の石つぶてだ。
「痛い思いしねえとてめえはわからねえ。だからバカだっつってんだ」
ふん、と窓の外へ顔を向けてしまう。胴体がふにゃふにゃのクマの顔は、しっかと胸に押し付けられている。
やはり、俺などよりもよほど幸福なクマだ。
月曜の放課後、岩ちゃんと連れ立って郊外にある大型のスポーツ施設へ繰り出した。目的は温水プールで、休みどきを有意義に活用するにはもってこいなのだった。全ての筋肉をやわらかく使い、ていねいな呼吸を常にこころがけていないと水の中では動けない。不自由さに足掻き、やがて足掻くことを諦めた時、悟りを得るかに似て、アスリートとしての原点を細胞が思い出す。そうやって得る疲労は格別に心地がよい。陸の上とは全く質を異にする上質の疲労だ。眠りが深くなる。
いいことずくめのようにして言うが、ただただ、お金がかかるんだよなあ。大きな自動ドアをくぐってすぐの券売機に千円札を吸い込ませながら、時計を見る。16時前で、ここの閉館は遅くて21時なので余裕はばっちりだが、何も食べずに学校から直行したので限界は2時間であろう。お釣りを財布にしまい、入場券を受付に出してからペットボトルの自動販売機に近寄ろうとする俺を岩ちゃんが引きとめて、「これ」と水筒を手渡してくる。
「ポカリ」
「ありがとう」
岩ちゃんは大量の粉末ポカリを部屋にたくわえているのだ。
更衣室の手前で別れ、制服を脱いでスイミングスパッツを履く。なんか緊張してきた。勃起しませんように。まあ経験上プール入っちゃえばなんとかなることはわかってる。
キャップとゴーグルを携えて、プールの室内へ足を踏み入れた。シャワーを浴びてざっと身体をきれいにしてから、プールサイドに出て岩ちゃんを探す。女性の方が身支度に時間がかかりそうなものだが、岩ちゃんは大体いつも俺より用意が早く、よってグズ川という不本意極まりない二つ名で未だに罵倒されるわけで…
「及川」
背後から、声がかけられた。
渋みばしった野太いアルトだ。断じて岩ちゃんではない。
ぜんまいじかけの人形のような動きで、きちきちと首を後ろへ巡らす。牛島若利が立っていた。
「きひゃあ」
「悲鳴を上げることはないだろう」
ずんずんと距離を縮めてくるや、
「岩泉は?」
ときょろきょろした。ふざけんなや。
「岩ちゃんはいねーよ」
「おおい、及川。あれっ、牛島も」
とてもよいタイミングで岩ちゃんが登場する。もうちょっと念入りにシャワーなり浴びておいてくれないかな俺のために!
シャワーブースからこちらへ早足で歩いてくる岩ちゃんを、睨もうとして、視線がつい熱くなる。紺地のミドルカットから伸びる脚はすらりとして、それでいてまろく、膝と足首の華奢さが胸を熱くさせる。こ、こうも、よくぞ育ったねえ岩ちゃん。
「足がどうかしたか?」
俺の視線が気に障ったのか、岩ちゃんは眉間に皺寄せて自分の下半身を見下した。
いやね、君の裸すらアクシデントで見ちゃったことあるし、それがなくても毎日一緒なもんで成長の著しさというのは十分に把握しているつもりだったんだけど、こう、白昼堂々といったシチュエーションで目の当たりにしてしまうと色々とね。
「いやいや、どうもしないけど」
そう俺が言いつくろえば、
「岩泉は良い足をしているな」
ウシワカは何を言い出すか。
「柔らかそうな筋肉をしている。基礎練習のレベルが高いんだろう。試合でのパフォーマンスの高さはその足によるところが大きいだろうな。触ってみてもいいか?」
「いいわけねえだろこの種牛野郎!!」
俺は叫んだ。殴りかかるのをこらえての罵倒であるから、すごい勢いで唾も散る。牛島はガンダムめいた後退を見せた。岩ちゃんの腕を取って背中に庇う。見てんじゃねーし触らせねーわ!
「岩ちゃん気を付けな、いやらしい目で見られているよ。とんだエロ牛もいたもんですよ」
「はあ!?」
ウシワカがいっちょまえに激昂した。
「何を言う、俺はそういう意味で言ったんじゃない!いい筋肉見たら触りたくなって当然だろう!」
「当然なわけあるか触っていいワケねーだろ!!涼しい顔してエロガッパもいいところだよ、ねえ岩ちゃん!?」
「ウシワカとお前を一緒にするなよ。あたしも筋肉は見たら触りたい」
「ちょっと俺を貶めるのは許すけどウシワカを庇うのは許せないよ岩ちゃん!!?こら!!」
思わず叱り口調で語尾のキーが跳ね上がったのは、岩ちゃんがウシワカの腕にぺたりとその手をくっつけたからである。
「なに触ってんの!」
岩ちゃんは俺の怒声をそよ風の如くスルーする。
そして、こうくるとは予想外だったのか、ウシワカの顔が埴輪のようだ。
ぺたぺたぺた、岩ちゃんの小さい、女の子にしては節や傷の目立つ、深爪ぎみに手入れのされた指が手が、彼の二の腕をまんべんなく這う。
そうして感心したような吐息が漏れるのだ。
「…すごい、おっきい」
ウシワカの左腕が、明らかに痙攣した。
「あっ、かたくなった」
「……」
埴輪から土偶へと表情を暗めに進化させ、ウシワカが岩ちゃんのお手手を振り払う。払ったその手で俺の腕を掴む。そのままずんずんと引かれて壁際まで連れてこられる。
そしてウシワカは掴んだ俺の手首を、血管持ってきそうな勢いで握りつぶしながら、壁に向かって頭を下げた。
「俺が、悪かったッ!!」
「知らねえよ!わかるよ!!」
「なんだよいきなり人を除け者にして!!」
来なくていいのに岩ちゃんが来た。
「でかくてすぐ硬くなってスゴイって褒めたんじゃんか!!」
日本海の荒波が波飛沫を立てて岩を砕くかのごとき効果音が響き渡る。施設スタッフのおじさんが監視台からプールへ落下したのだった。
「黒くて…!何発でも打てそうだし!!」
ウシワカの腕をびたびた叩きながら褒め讃える岩ちゃん。プールサイドで立ち話をしていた罪も無き市井のおじさん二名も続いて足を砕けさせ腹からプールへ落下してゆく。
「でも言っとくけど及川だってテクでもパワーでも負けてねえんだからな!!」
「やめろやめるんだ岩ちゃん」
張り合ってくれるのは嬉しくなくもないけどこのままでは二度とこの施設を利用できなくなってしまう。
「なんだと?負けないぞ!」
「だから張り合うなこの馬鹿牛野郎!!」
「勝負だな!!」
話を聞いてくれ岩ちゃんテカテカするんじゃない。おじさん3人が腹を見せて浮いているプールにガニ股で突撃してゆく君は小学生男子なのか。
「また勝負か・・・。負けるわけには・・・」
その背後に何故に従うんだウシワカ。瞬く間にテキパキ2人してレーンに並び、
「んだらば50メートルな」
「なんでこうなるのかわからんがわかった」
俺の口が勝手に絶叫をほとばしらせた。
「及川さんもいれてよおおお!!」
そうして結果俺は両の腕が持ち上がらなくなるまで泳ぎたおし、同じくぐったりした岩ちゃんと並んでベンチに腰掛けている。
「こんなに疲れきる予定じゃなかったのに、岩ちゃんのせいだかんね」
俺の抗議はスルーして、疲れ目をもしょもしょと擦った岩ちゃんは、
「帰りのバスで寝たらごめん」
それは許すよ。
なんと施設の出入り口で、先に出て行ったはずのウシワカが待機していた。
「あれっ?よー」
「よー、おつかれ」
「うむ」
内心キョドりつつ軽ーく声をかけて通りすぎるも、ついてくる。出待ちか・・・。やめてくれ・・・。
「牛島もこっちのバスなのかな」
「しっ岩ちゃん振り返らない!目が合ったらどうすんだ」
「ヒグマじゃねえんだから」
ぼそぼそやっているうちに追いつかれてしまう。大股の足音が、すぐ背後に迫る。
「岩泉」
「うん?」
上空、やや後方を見上げて仰のく岩ちゃん。その逆さまの上目遣いを怯みもせずに見つめ返して、ウシワカは「話があるんだが」と改まった。改まらなくていい。なんなんだよ。
「なんだよ?」
俺の心の叫びとリンクして岩ちゃんも尋ねる。
「お前との友人関係を解消したい」
ちょっと予想だにしていなかったことを、ウシワカは言った。
「別にいいけど」
「・・・別にいいのか」
微動だにせぬ表情筋の中、しかしおぼろげに傷付いたサインがウシワカの瞳の奥に走ったのを、俺も岩ちゃんも確かに見た。
「い、いや、だって、解消ってなんで?」
とりあえず理由をただす岩ちゃんが、おろおろしていて優しい。けっこうめんどくさいウシワカは真顔を維持して答えた。
「女の友達がいると言ったら、部活が崩壊しかけた」
「なんで?」
「ねえなんで?」
俺と岩ちゃんは息継ぎができなくなり相当に覆い被せる感じでウシワカにたたみかけた。俺にもわからない、と首を横に振るウシワカ。
「部室で、チームの奴らが女友達がいるかどうかという雑談をしていたので俺にはいると言ったら、「どう見守ればいいのかわからない」「どう想像すればいいのかわからない」を繰り返すばかりの意味が分からない大騒ぎになった。信じたくなさすぎて体調を崩したと訴える者や、牛島は騙されていると叫んで泣き始める者まで出る始末だ」
「白鳥沢どうなってんだ?」
「むろん一時的なパニックに過ぎなかったが、あれから少し空気がおかしい気がする。せめて春高が終わるまでは、友達がいたというのは俺の妄想だったということにしておきたい」
「その健気さは間違ってるぞ牛島!?」
「岩ちゃん落ち着いて」
俺も膝が笑いそうだけど。
「春高で優勝したら、改めて俺から岩泉に交際を申し込む」
牛島はまっすぐに岩ちゃんを見てそう言い、岩ちゃんはおめめをまんまるにして牛島を見返し、
「おまえ、用法が」
と言い差してから、かーっと顔を赤くした。俺は膝が笑いすぎて立っていられなくなり、数歩たたらを踏んでよろけた先にあったドブ板を踏み抜いて転倒した。
花巻貴大は見た。岩泉が及川にぺこぺこしていた。しかも、無視して大股で歩き去り行く及川を一生懸命追いかけながらぺこぺこしていた。逆ならわかるがこのパターンは珍しかった。あとで事情を聞こうと思った。
松川一静は聞いた。岩泉が及川に怒鳴りかかっていた。だから謝ってんじゃん!おれが悪かったってば!そう逆ギレぎみに食ってかかるのに、及川の反応は冷たかった。だからもういいって言ってるじゃん。切って捨てるようにこうだ。
「く~~」
岩泉はくやしそうに唸ったあと、立ち去る及川の背中を恨みがましげに見送っていた。あとで事情を聞こうと思った。
そして事情を聞くにこれ以上適したシチュエイションもなさそうな昼休みの体育館裏で、今花巻と松川は及川徹を囲んでいる。3人してうんこ座りで手元の雑草をぶちぶちと引っこ抜きながら、小声での質疑応答が始まった。
「お前、何で岩泉にキレてんの?」
素朴に問いかける松川と、
「ガチのケンカだったら口出すのもアレだけどさあ、お前が引っ込みつかなくなってるだけ的な感じすんだけど」
わりと言い訳の多い花巻だ。
心配する態で矢継ぎ早にグイグイくる2人に対し、
「別に俺は困ってないよ」
指先で地面をほじくりながら、及川は答えた。
「だって岩ちゃんが悪いんだかんね」
「なしたの」
「ウシワカ」
「はあ」
名詞ひとつでなんとなく及川の心情が理解できてしまい、しょっぱい顔になる花巻だ。松川はたおやかに頷いている。聞き上手なのだ。聞き流すのも上手だが。
「岩ちゃん俺に内緒で、白鳥沢まで会いに行ってたんだよ」
「・・・・・・」
しかしこの度はきちんと及川の訴えを耳で拾った松川は、
「お前は一体、岩泉の何のつもりなの」
花巻が落涙しそうになるくらい的確なつっこみを返した。
「彼氏でもなんでもねえだろうが。岩泉がどこで誰と何しようが咎める権利ねえよ」
「いや、ウシワカじゃなかったら俺も何も言わないよ!?ウシワカじゃなかったら!」
何も言わない、というのはそのつもりという話であって、ぶっちゃけ今朝方の夢のように、他所の男のためにハート型のハンバーグを調理する岩泉を現実に目の当たりにした時に発狂しない自信はなかったが、男のプライドがそう取り繕わせるのだ。及川はがんばって説明した。
岩泉が牛島から借りて、返し忘れていた物品があったこと。
返しに行かねばと言うので、その時には自分も同行させるようくれぐれも言い聞かせてあったこと。
「わかったよ、うぜえなあ」とひどくぞんざいにあしらわれたうえ、一応こちらの要求を飲んで約束してくれたにもかかわらず、結局自分に黙って隠密裏に返却を遂げてきたこと。
「俺は、岩ちゃんとの約束だけは破ったことないのに!」
一通り聞いた花巻は、素朴な疑問を口にした。常々から思っていたことだ。
「つーかお前、なんで俺は放置で、牛島にはそんなに厳しいわけ?」
「なにが?」
及川よりも早く松川の方が問うてくる。花巻は答えた。
「岩泉狙うの」
一瞬で静まり返った。
「…え、花巻本気で狙っちゃってんの?」
「いや本気では狙ってない」
「なんだよもおおおおおお」
緊張からくず折れる及川。
「だってお前、いや俺も牽制は感じるんだけど、牛島と岩泉が絡むと拒否反応のカラさが段違いにならねえ?」
くず折れたままの姿勢で及川は答えた。
「だって、あいつは敵だ」
「…味方になら岩泉取られちゃってもいいんかよ…」
「岩ちゃんは、取られたり盗まれたり攫われたり、そういうタマじゃねえ」
「……」
「岩ちゃんに彼氏ができる時は、岩ちゃんが本当に誰かを好きになった時だけだ。そんな時がきたら、岩ちゃんのことほんとに大事なら、俺はそれを壊しちゃだめだろう」
「…………」
花巻と松川は、視線も交わさずに、心を通じ合わせた。相手に言いたい気持ちと受信したい感情が一致しているのを肌で感じた。今俺達はなんかけっこうスゴイ告白を聞いているのではないか。視線を落とした先の地面では、蟻が健気にも這っている。
「…で、なんで牛島だとダメなの」
「牛島に勝たないと、俺は一人でバレーしてた時から先に進めた証がもらえない」
「…それが岩泉と、なんか関係あんの」
「バレーはコートに6人だ」
そうだな及川。俺らはひとつだ。皆で繋いで繋がる。でもお前のエースは、もう同じコートには立てない一人だけ。
花巻の視線の先で、及川の靴先が滲む。
「コートに6人、そんで俺もついてるって、岩ちゃんが言うから俺は、ウシワカにだって勝てる」
さながら呪いだな。
呟き、松川は思案げに頬杖をついた。
でもな。
おまえなあ。
「それはそれとして、今日のは、ちょっと遊んでるだろ?」
及川の体がびくりとわなないて止まる。
「実はそんな怒ってないのに、そういうテイで岩泉振り回して楽しんでるだろ?」
「そ、そんなことは」
「あるだろ?」
「う、うぐう」
及川は強張る両頬を、自身の手でぐにぐにと揉んだ。
「岩泉には見えてなかったろうけど、後ろ向いてから若干にやついてたの、俺らにはあからさまに見えてたからな?」
「そっ、そっ、そ」
「あの岩泉がいっしょうけんめい追っかけてきてくれんだもんなあ、そら焦らしたくもなるってもんなんですかねえ」
及川は返事をしなかった。頭を抱えてうつむいていた。
しばしして、身を起こし、視線を人と合わせぬよう不自然に彷徨わせながら仰のいて天空に目を細め、
「…いい天気だよね」
話を逸らした。とたん矢のような集中砲火が及川の腹を射る。
「やだー、最低」
「マジで愛想尽かされるぞオイ」
「岩泉かわいそうー」
「花巻くん、本気出せよ」
しかし及川はもう徹底的にスルーなのだった。喋りすぎた、と及川は思っていたし、喋らせすぎた、と花巻も松川も思っていた。
「つか岩泉も何だろな。謝ってダメならハイ自分のけじめは切ったで即放置しそうな感じなのに、なんか今回は粘るよな」
それだ。松川の指摘に花巻は胸の内で大きく頷く。及川は上空を見上げたまんまだ。答えが描いてあるはずもないのだがなんとなく倣って全員が上を向く。空は、見事なまでに黒ずんだ曇天であった。





本日は月曜日で自主練しようにも体育館がまず使えない。俺は岩ちゃんには黙って、先に帰ってしまうことにした。部活がない日に帰り支度をして昇降口を出ると、日の高さに驚く。念を入れて鉢合わせないよう、裏門へと回った。
朝も、腹が立っていたので、勝手に先に登校した。もともと打ち合わせて一緒に登校していたわけでもなく、朝練と時刻表の関係で自然に合流していただけで、俺が避けようと思えば簡単に会わずに済むのだった。
もうちょっと怒っておこう、そう思っていた。でも今日の晩に会いに行こうかな、肉じゃが作り過ぎましたとか言って。そんで玄関先ででもいいからちょっと話そう。俺を信じてほしいこと。
「及川ー!」
遠くから呼ぶ声がした。
「てめー何裏から帰ろうとしてんだよ!」
振り仰げば、岩ちゃんが教室の窓から身を乗り出して叫んでいる。
そこを動くなよ、とドスの利いた言い回しが続いたので、無視して前を向き早足になった。
「及川!」
岩ちゃんが呼んでいる。
「及川!てめえー!」
怒号に後頭部を殴られたような気がして思わずまた振り向く。怖い物見たさというやつだ。岩ちゃんは二階の窓枠を跨ごうとして足掻いていた。馬鹿じゃないの。やめなさいよ。そう口にする前に岩ちゃんは身体の右半分で窓枠を乗り越え、その重みでぽろりと下へ落下する。ノドから心臓が飛び出るかと思ったが出たのは「あうえおっ」という謎の悲鳴で、岩ちゃんの方は事故防止のために設けられた庇の上に猫のごとくしなやかに四つ足で着地した。クラウチングポーズだ。入学から早々で陸上部顧問が三度参りにきたその俊足が火を吹く。
「及川逃がすかよおっ」
しかし踏んでる庇は人の頭よりはるかに高いところにある幅約30センチくらいの心許ない代物であって、俺の喉だって火を吹いた。
「危ないからやめてー!!!」
「りゃあ!」
岩ちゃんは俺の魂の叫びなど完全に無視して校舎の端まで走り通し、そこにせり出していたマテバシイの枝に飛びかかった。
「らめえええええ!!!」
もはや言葉にならない。岩ちゃんに鷲掴まれた気の毒なマテバシイの、一見ごんぶとに見えたその枝から、バキバキといやな音がした。そこを手がかりに勢いよく地面に飛び降りなんとしていた岩ちゃんの動作が停止する。彼女の上履きの爪先は、まだコンクリート色の庇に残っている。さながら樹木と校舎を結ぶハンモックだ。
俺は駆け寄った。焦るほどに、足があちらこちらに持って行かれそうなよろけ方をして、僅かな距離が気が遠くなりそうに縮まない。
「いわちゃん」
岩ちゃんは無言で眼下の地面を凝視していた。ね、高いでしょう。
「だいじょうぶだ」
強がってる場合じゃないだろう。お腹がぷるぷるしてんじゃねえか。
口をぐっと噤んで状況に耐えている岩ちゃんに追い討ちをかけるがの如く、鋭い北風がびゅうと吹いてきて、秋にはたわわにどんぐりを実らすマテバシイの枝を揺るがす。恐怖!揺れる吊橋人間!というフレーズが衝撃的なフォントで俺の脳内にまたたいた。岩ちゃんの、庇に留まった爪先が危うい。
とうとう、歯を食いしばって耐えていた岩ちゃんの口が微かに開き、かぼそい悲鳴がこぼれた。
「…みきゃー」
あああああ!!
俺の踵が土煙を上げながら駆けつける。
「岩ちゃん、こい」
両腕を広げた。
「うけとめるから」
「どけ」
岩ちゃんは真っ赤な顔で拒否る。
「クソ川、怪我するぞ」
「岩ちゃんこそ大怪我じゃすまねーぞ!?」
「どけ!ばか及川!!」
「岩ちゃんにだけは言われたくない!!」
たぶん今までで一番本気で怒鳴ったかもしれない。だって今この状態でコイツにだけはホントに言われたくないでしょう、どこまでバカなんだ、ひっぱたいてやろうか。
往生際悪く、岩ちゃんが唸る。
「きゅ~~~」
悲鳴とない交ぜになっているので迫力的には底知れないマイナスぶりだ。
「大丈夫だ、俺のフィジカルを信じろ」
岩ちゃんは、非常に不本意そうな顔をした。しかしそこからの思い切りは、秀吉のとこに十字架かついでいった政宗くんも感心するであろうぐらいに切れ味がよく、どん、と爪先で庇を蹴って「うらあ!」との俺を呼ぶ掛け声も勇ましく、腕を羽ばたかせ、蝶々どころかむささびのように、がっつりと空に舞ったのであった。
俺は、男の矜持に賭けて受け止めた。
抱きとめた瞬間、腕が持っていかれそうになったので、横に振り回して遠心力で衝撃を逃がした結果、岩ちゃんを抱っこしたままくるくる回転してしまい、踵が地面をえぐって砂埃が舞い上がる。
「及川」
すぐ近くの上から、岩ちゃんが俺を呼ぶ。いっぱいに見開かれた目に俺が映っている。服や髪の毛は全体的にくしゃくしゃだが五体満足そうだ。
「怪我、ないか」
「そっちこそ」
「俺は、どこも痛くない」
「俺も」
俺は両腕で岩ちゃんの胴体を縦に抱えていたのだが、それを上下にゆさゆさすると、岩ちゃんは抵抗なく上へ下へ揺れた。
「捕まえたぞ、及川」
「いや俺が捕まえてんだけどね」
岩ちゃんは両足で俺の背中を羽交い締めにした。
「捕まえた!」
「おいこら、はしたない」
あと踵が背中に食い込んで痛いのだが、それは言わないでおく。
「岩ちゃん」
まだ、心臓がつめたい。
「危ないことはしないでくれ。君が怪我をすると、俺も痛い」
俺の目にしか映らない、岩ちゃんの頭に生えた猫の耳が、しゅんと下を向いて萎びたのが見えた。
「お前が無視なんかするからだ」
「うん、ごめん」
「もう無視しないか」
「しないよ」
「ほんとか」
岩ちゃんは鼻がくっつきそうな距離で、俺の顔をじっと覗きこんだ。心の中を覗かれているようで心地よかった。
「岩ちゃんも、約束してよ」
不服そうに顎を引いた上目遣いで、岩ちゃんが俺を睨む。
「黙ってウシワカに会いに行ったりなんか、もうしねーよ」
「違うよ、ケガするような危ないことはすんなっつってんだよ」
ウシワカのことは、よくないけど、もういい。だって岩ちゃん、君のことならお見通し。
「俺が白鳥沢に行くのがイヤだったんでしょう。岩ちゃん、なんか白鳥沢と俺のマッチングに抵抗もってるよねえ」
「んなこと…」
きつめだった岩ちゃんの声が、尻すぼみに小さくなる。顔も気まずそうだ。
岩ちゃんは、俺と岩ちゃんを別個に分け隔てようとするものを、顔や言葉に出ない心の奥深いところで憎んでいるふしがある。
それは性差であったり、精神的な距離であったり、過去や未来に見え隠れするまぼろしの分かれ道であったり。だから約束をしよう。
「俺は岩ちゃんを離さないよ。もし白鳥沢行ってたって、この先進路が違ったって、コートの中にいる限り岩ちゃんは俺の味方だろう。それと同じだ。神様に見捨てられたって、君には俺がついてる」
岩ちゃんは不機嫌な猫そのものの顔で、「ふうん」と唸った。なんだ、迫力が復活しつつあるな。
「じゃあ」
と口を開けば犬歯が覗く。悲鳴の名残で少しだけ呂律が怪しいところに、そんじょそこらの未来系アイドルでは太刀打ちもできない愛嬌を感じる俺だ。
「きょう、一緒に帰れるか」
「うん???」
幻の猫耳が、哀しげにヒクつく。
「うん?うん!帰ろう、一緒に。よ、寄り道もしよう」
「んん」
こっくりと頷く岩ちゃん。ああ、おめめがキラキラしておられる。あのなあ本当に、
「俺を、傷付けられるのは、君だけ」
「あ?」
「いや、」
ダメだ、勝手に声になる。
「こうやって」
誤魔化そう。
さっきみたいに、岩ちゃんを上下にゆさゆさした。
「抱っこして帰ってあげようか?」
岩ちゃんはいきなりめちゃくちゃ笑顔になった。笑い出すのをこらえて目を瞑ってぎゅっと頷いた。
「うん!」
そしてぱっちりと見開いて俺を見て、今度は唐突にしゅんとして、どうしたんだいつになく表情がくるっくるだなあ。色々と追いつけない足も舌ももつれっぱなしの俺を「こわごわと」と形容していいくらいの心細そうな瞳で睨み、そうしてぽつり、やっと俺に聞かせてくれた岩ちゃんの「ごめんね」は、どんなつぶてや弾丸よりも正確に俺の心臓をハートの形にえぐりぬいた。
岩ちゃんにブランコの立ち漕ぎをさせると、一回転しそうな勢いでガンガンにスイングをキメるので見ていて心臓に悪い。どこかへ発射していきそうだ。はためくチェックのプリーツスカート下から、ホワイトにターコイズラインの見慣れたジャージが惜し気もなく見えては隠れする。
「どっか飛んでっちゃわないでよ」
「どっかって、どこにだよ」
「どっかはどっかだよ…」
「どっか飛んできそーなのはてめーのほうだろうが」
さっきの今で、よく言うよ。
ブランコによじ登る直前に三口で食べた肉まんで頬っぺたをもぐもぐさせながら、岩ちゃんは勢いよく漕ぎ続ける。日が暮れかかってからの強い風で、みるみる雲が吹き飛ばされて晴れ上がった夜空には、無数の星がまたたいていた。
でも岩ちゃん、俺のお星様は君だ。いつか大海原に一人取り残される時が来たら、北極星みたいに君を目指して泳ぐよ。
そしてどこからでも君に辿り着いて、いつかはきっと、抱き締めてもう離さない。岩ちゃん。
「さぶい」
今更もっともすぎる事を言いながら、岩ちゃんがブランコを止めて地面に足を付けた。
「安全着陸だね」
岩ちゃんが頷く。言うなよ、という顔をしているがつい言ってしまう。
「よくできました」
びし、と音がしそうな勢いで岩ちゃんの眉間に深く皺が寄った。危ないことすると俺が怒るかもしんないもんね。
「おまえ、怒るとめんどくせーんだよ」
「なんだとこの…」
正論で説教してやろうかとムカッ腹が立ちかけるが、もうケンカはやだし、気まずそうに肉まん咀嚼しながら舌っ足らずにもふもふ喋る様子がなんか愛しいので、俺の戦意が星の彼方だ。
膝に頬杖つきながら、その膨らみがちの横顔を眺めて言う。
「…俺、岩ちゃんに怖がられるのは、嫌だなあ」
ねえ、俺ってけっこう怖い?
そう問えば、岩ちゃんは今度こそまことの殺気をその目にみなぎらせつつ、「ふざけんな」と鼻息を荒くした。
「お前だったら、たとえ化けて出たって怖くねーよ」
殺すなよ。
手を伸ばした。頭に拳をあてるふりをすると、岩ちゃんがほんとにちっとも怖くなさそうに目をぴかぴかさせて俺を見るので、なでなでせざるを得なかった。




おしまい

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