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2025/07/07 (Mon)
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2013/11/14 (Thu)
「必殺プリンセスホールド」
Comments(0) | ハイキュー!!
やってしまいました、岩ちゃん女体化の及岩小説です。たたんでおきます~。
ほとんどオリジナルのような感じになりますね・・・でも楽しかった、ショートです。













必殺プリンセスホールド






確かに今日はことのほか寒いよ。でもそれはどうなのかと思うよ。
「悪いかよ」
と岩ちゃんが半眼で下から睨み付けてくる。悪いなんて一言も言ってないじゃないか。確かに女の子は大変だなあといつも思うんだよ。寒いよね。想像しただけで鳥肌が立つんだよ。でもね。でもなー。
「目で語るんじゃねえ口で言え」
「女子力やばいよ、岩ちゃん」
「女子らしく下半身守ってんだろうが」
「表現の選び方が女子から遠すぎるよ岩ちゃん」
岩ちゃんは幼馴染である。とても男らしい女の子だ。出会いは小3から通い始めたバレーのキッズチームだった。同じ小学校の違うクラスで、小5で同じクラスになるまで同じ性別だと信じて疑っていなかった。
「ジャージはさ~~~」
「いいだろどうせすぐ部活なんだから。出せよノートたっけえ鼻つぶされてえのか」
ああん?と三白眼が殺気を帯びて鈍色の光を放つ。午前から借りっぱなしで忘れていた、数Ⅱのノートを手渡した。性別とクラスを越えて長らく俺と岩ちゃんは、親友と言って過言でない持ちつ持たれつだ。
「助かったよ、ありがと」
「どういたしまして」
頭一つよりちょい低いところのつむじを見下ろせば、自然その下も視界に入る。俺と岩ちゃんはいつも距離が近いらしい。別にいいじゃんね。
はーーー。
「ため息でけえよ」
と歯を剥く岩ちゃんの下半身。スカートの下からジャージがにょきっとひん出ていた。
「髪の毛も眉毛ももう個性でいいけどさあ、せめてそれは改めた方がいくない」
「ああ?オレだけじゃねえもん」
岩ちゃんの一人称は、在郷のおばあちゃん譲りだ。ここ数年でアタシを使いこなせるようになったものの、身内の前では大体オレでぼろぼろ通している。
そしてイケメンがとどまるところをしらないこの俺に対し、腐れ縁がこなれて完全に身内の勘定だ。それでいいんだけども時々釈然としない。だから俺も自然と女の子扱いできない!
「俺、絶対俺の方が、岩ちゃんより女子力高い自信あるよ」
髪の毛のセットには気を使っているし、眉毛も抜いてるしショップにも詳しいし、お菓子のことをスイーツと呼べるし芸能人にも興味ある。
「オレもお前より男子力高い自信あるわ」
軽く小競り合いを売ったのに感付いて、岩ちゃんがそう返す。
「お前チャラいし女々しいしナヨっちいしカマくせえしすぐ泣くし弱いし。」
「弱いのはメンタルだけだもん!」
「メンタルこそ強くあれよ!あと腕力では勝ってるような言い方すんじゃねえ」
「俺らいくつになったと思ってんの岩ちゃん」
「いくつになってもしょうがねえなあてめえは、ははは」
笑い声が乾きすぎだよ岩ちゃん。
その肩に手を置く。
引き寄せてからしゃがむ。
膝裏を抱え上げる。いくつになってもしょうがないのはどっちだい岩ちゃん。ほらね!
「俺の男子力なめないで。どうかなー、お姫様の景色だよ岩ちゃん!」
腕の中で目を丸くしている岩ちゃん。当たりを見渡す。教室の出入り口を塞いでショータイムじゃないですか。みんなも目を丸くしているね。
呆然と、岩ちゃんが俺の顔を見上げる。とてもびっくりしている。ぼわっと、赤くなる。
岩ちゃんが。
珍しいよりも、やばい。
いつも何かしら岩ちゃんに関しては裁量が狂う、ごめんなさいはもう遅い。でも、ごめ、
口を開くより先に顎が跳ね上がった。鉄のかたまりのような拳に打ち抜かれる。頭蓋の中で脳が縦に揺れた。膝から崩れ落ちる。
くの字に折れた腹を、23.5センチの靴底がえぐった。









目を覚ますと保健室にいた。医務の先生はしきりと頭の具合や気分を聞いてくれたけど、そこはすっきりしていて、代わりに顎が痛い。
「女の子にやられちゃうなんてね」
面目ない。
誰がここまで運んでくれたんでしょうかと問うと、こちらに背を向けて職員室に内線をかけかけていた先生の肩が震えだした。
「き、気の毒にね」
などと言う。なにごとか。
「岩泉さんがね、すみません、あたしがやりました、て、あなたをお姫様抱っこしてね」

いわちゃん。

「あの、結構大勢に目撃されてしまってるからね」

い わ ち ゃ ん 。

両手で顔を覆う。君は君だよいわちゃん。
「先生、言っておいたからね」
と、肩どころか腹筋すら痙攣しはじめた保健の先生。そんな笑わなくてもいいじゃないすかまじで。
「そんなんじゃ、お嫁さんの貰い手がありませんよって」
「あ、その心配は、ないです。」


おわり

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