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2010/01/01 (Fri)
「恋はハートでパンチ」
Comments(0) | Dr.スランプ

ドクタースランプは、おもに 突詰vあかね 萌え!の感想とか絵とか話です。
ちなみに「恋はハートでパンチ」は、アニメが突詰とあかねのオリジナルフォーリンラブ話を作ってくれた際のサブタイトルです。確かに恋もしてたしパンチしてた。
もうあかねと突詰くんはほんっとにかわいい・・・!!



続きに、突詰vあかねSSです。











カンカンロード





*********************



かきん!といい音を立てて、あかねの蹴った空き缶が中空へすっ飛んだ。
あわてて追いかけ、「はっ!」と気合を発しつつナイスキャッチして、突詰は道はずれの野ッ原へ着地する。
「あかねさ~ん」
困ったように掛けられた声を無視し、けっ、と足元へ唾を吐き捨てて、あかねは連れを置いてけぼりに歩き出した。
「空き缶はゴミ箱あるよー」
慌てて突詰は追いかける。
「蹴ったらダメある」
「うるせえよっ」
肩越しに睨まれて、突詰は空き缶片手に肩を竦めた。
今日のあかねはやたらと機嫌が悪い。
いつもなら突き抜けた明るさ騒々しさで、場の雰囲気を和ませてくれるアラレやガッちゃんも、八つ当たりの的となってあかねの気を晴らせてくれるピースケも居ない。
あかねさん、怖いある。
声に出すと嫌われるので心中で呟き、突詰は俯いて溜息をついた。
学校からの、帰途である。
常夏の村へ太陽の日差しは強く暖かく、乾いた空気には先ほどまであかねがヤケ飲みしていた炭酸飲料のニオイが微かに混じっていた。
「あかねさ~ん」
「んだよ」
「あのう」
このまま無言の状態で、家まで連れ立って歩くのは中々辛そうだ。
なんとかこの、あかねの不機嫌を打開しようと、突詰は対話を試みた。
「今日は、えと、あの」
口が滑ったのは、焦りのためだ。
ペンギン村へ越してきて半年、彼の父親は今や村で1、2を争う助平親父として知られている。その父親の、時場所を選ばぬセクハラ発言を聞き流し暮らしてきた突詰は、知らずの内に変なボキャブラリーを身に付け始めてしまったらしい。
「あの日あるか」
コンマ2秒後、あかねのスポーツバッグが突詰の顔面にめり込んでいた。
「うぐ、ぐ」
金具で補強された鞄の角に鼻を潰されて、呻く突詰にあかねは半眼で言う。
「おめえ、オヤジに似てきたな」
「!? ひ ひどいある!!」
突詰はちょっと泣いた。
スケベースケベーと歌いながら、それでも何故か少々機嫌を直したらしく、軽快に前を行くあかねに突詰は追い縋る。
「だって、あ、あかねさん、イライラしてるあるからっ」
「してねえよ」
「してたあるよ!
 あ う ぼ ぼくも 悪かったあるけど・・・」
「ふーんだ」
今更自分の発言のマズさに気付き、赤面しつつ頭を抱える突詰をやはり置き去りに、あかねはずんずん歩を進める。
「大体なー、おめーの姉ちゃんのせいだぞ」
へ?と突詰は抱えていた頭を上げた。
「ねえさん?」
「そーだよ」
とあかねは口を尖らせた。
「タロウの奴、先に約束してたのはオレなのにさあ」
ぶつぶつと愚痴を漏らし始める。
ははあ、と突詰は思い至った。
今日の午後、姉に学校で呼び止められた。姉はにっこりと上機嫌で、ねえさん今日遅くなるあるから、母さんに伝えといてときたものだ。
部活動でも始めたあるか?と首を傾げる弟へ、姉の鶴燐は笑みを濃くし、
『タロウさんとデートあるよ!』
はあー、と突詰は律儀に感心し、
『良かたあるな』
と、とりあえず伝言は快諾してみたのだが、おそらくそのデートとやらのせいで、先に約束されていたあかねとのプランは反故にされたのだろう。
「ん~」
と、突詰は眉間に皺を寄せて考えた。
脳裏に「ふたまた」という、およそ自分とは縁遠いと思い続けてきた不埒な単語が踊ったためである。
有り得ないある。違うある。そうじゃなくって、タロウさん、ダメあるなあ。
そして道行くあかねの後頭部を、複雑な心持ちで眺めやる。
パーマをあてられて痛んだ毛先は、元来の色素の薄さも手伝って、日が当たるとまるで透明に近い金色だ。
彼女の性格を映してか、奔放に巻いたり跳ねたり、けれど実のところ柔らかそうなそれに、自分は触れる事が出来ない。
ふと。悪戯の仕返しだとか、ツッコミの代わりにだとか、何かの合図でとか、気安く彼女のポニーテールを引っ張る姉のボーイフレンドなる人物の影が脳裏を過ぎる。

「あかねさんは」

まだぶつぶつと、幼馴染への愚痴を並べていたあかねは、妙に改まった突詰の声音に振り返った。

「タロウさんと、仲がいいあるか」

あかねはぱちくりと、大きな青い猫目を瞬かせる。

「バカか、おめー」

「バ・・・」

わりと真剣な、何故かは自分でもわからねど、なんだか切実な質問だったのに、一蹴されて突詰は言葉に詰まった。
「あんなアホと仲いいワケあるかよ」
「え、いや、でも」
「ありゃ舎弟よ!オレの舎弟」
ぎひひひ、と下品に笑いつつ、いつしか完全に気分の持ち直したらしいあかねは、突詰へ向き直る。
「だ、だって、仲良く見えるある」
「んあー、こんな田舎住んでりゃなあ。オレ不良だもん、遊べるヤツだってそんなイネエしよ」
「あかねさんいい人あるよ不良違うあるよ! あ、それに、やっぱり」
「しつっけーなあ。まあ生まれた時から一緒だし、腹は割れてるよなアイツとは」
「生まれた時から一緒あるかあ!?」
「まあな」
まさかそこまで付き合いが長いとは思っていなかった突詰が、大口を開けて驚いているのを正面に置いて、
「うちの母ちゃん、アイツの母ちゃんの妹なんだよ」
咄嗟に理解が難しい事を、あかねは言った。

母ちゃんが いもうと

「ええ  と」

突詰はたっぷりと考えた。
あかねは不審に動きを止めた突詰を下から覗き込み、「おおい」と手など振ってみる。

「ええーっと」
「おう」
「従兄弟あるか」
「おう、ソレよソレ」
にひ、とあかねは笑った。
そしてふと地面へ視線を落としかけ、何かに気付いたように突詰の全身を、上から下までジロジロと眺めやる。
突詰は、困惑よりも照れが勝って、やや耳を赤くした。
「な、何ある?」
「おめえ、アキカンは?」
「へ」
確か右手に持っていた。
「あー」
しまったある。
突詰は握り締めていた右手を開いた。
胡桃大の、銀色の珠が乗っていた。
「力、込めすぎたある」
「・・・・・・」
なんでだよ。
あかねは背中に冷たい汗をかきつつ、缶の成れの果てと、突詰の顔とを見比べていたが。
ふと突詰の手から、彼の手に直接触れぬよう注意しいしい、その塊を指で取り上げた。
「あかねさん?」
突詰が問う暇もあらばこそ。

「てーいっ」

道はずれに広がる黄緑色の野ッ原へ、力一杯放り投げる。
「ああ―――っ!!」
突詰は叫んだ。
「何するあるか、あかねさーんっ!」
ゴミはゴミ箱あるよ!
困ったように、肩を怒らせて詰め寄る突詰に、あかねは悪びれも無く歯を見せて笑った。

「突詰、とってこーい」

野ッ原の果てを指差して、悪魔な天使の笑顔で言う同年の少女に、

「そりゃ、ないあるよ、あかねさぁん・・・」

突詰は肩を落として、やはり、ちょっと泣いた。

 

結局その後しばらくしてから、突詰は鼻を啜りつつ野ッ原を駆けた。



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